(第26章)天敵

次のゴジラの自作小説です。

(第26章)天敵

 網走の街中付近を逃走中のサンドラは近くの空き家に入って行った。
 そこで大きなスーツケースから研究用の機材や
大量の資料を取り出すと机に並べ、それを読み始めた。
 その資料は「覇王圭介とケーニッヒギドラの関連について」
と題され、更にサンドラが読み進めると
「覇王圭介のDNAからはケーニッヒギドラに類似したDNA
が検出されたらしいが詳細は不明。ケーニッヒギドラの
DNAが人間の女性と対をなしていたとの未確認情報あり。
更にデストロイアと言う怪獣のDNAも人間の女性と対をなしていたとの未確認情報もある。
この情報が正しければ、この2体の怪獣は人間の女性としか子孫を残せないことになる……」
と書いてあった。サンドラはその資料を机の隅に投げると
研究機材から青い液体が入った細い注射器を取り出し、自分で
細い注射器を指で4回弾き、ゴムで腕を縛り、注射器を腕に刺して青い薬を投与した。
 サンドラの全身から汗が噴き出し、続いて身体の中が焼けつくように熱くなるのを感じた。
 その症状は数年前の美雪に類似していた。それからそれが収まり、
美雪と違って頭痛や吐き気は起こらなかった。
 しかし代わりに凛に噛まれた右腕に激痛が走った。痛みのあまり叫び声を上げ、
左手で右腕を押さえ、歯を食いしばって長い間それに耐えなければならなかった。
サンドラは激怒のあまり
「あのおんなぁーっ」
と激しい声で怒鳴り散らしながら耐え続けた。
 やがて激痛は収まり安堵の顔になった。
 その後サンドラは空き家の窓を開けて外を見た。
 すると雪で真っ白に覆われた街中に、凛達の入院している病院が見えた。

 美雪達のいるホテルの駐車場では、青い車に乗った男が電話で話していた。
「ジュン!何者かに妨害電波を流された!」
ジュンは
「なんですって??それで会議の会話は??」
男は
「途中までしか盗聴出来なかった!」
電話の相手は別の男に変わった。
「おい!どういう事だ?裏切り者のサンドラの行方は掴めたのか?」
男は
「ビリーさん!まだ手掛かりは掴めていません!」
ビリーという男は
「分かった!途中までの会話を分析し、サンドラの居場所を割
り出してくれ!また仲間のレベッカ、シャラン、メイスン、レ
イを探し出して裏切り者のサンドラの行方を問いただして!
その後は口封じに4人共始末しろ!」
男は
「了解しました!」
と言うと電話を切り、その男は一度、青い車を発進させホテルを離れた。

 メイスン、レベッカ、シャランはサンドラを追って網走の街中を逃亡していた。
 その後ろをパトカーのサイレンが鳴り響き、後を追い掛けていた。
 3人は建物と建物の隙間に入り込み、必至の逃亡劇を続けていた。
 しかしその建物屋上まで3人が昇った時、ヘリで屋上に先回りしていた
数人の関係者にたちまち囲まれた。
3人のうしろでカンナが
「ここまでよ!」
ジェレルは
「君達は包囲されている!」
ニックは
「ヘリもあるぞ!もう逃げられない!」
ガーニャはロシア語で
「あきらめるんだ!」
尾崎は
「武器を捨てるんだ!」
3人は潔くレーザー銃を自分の足元に落とした。
ニックが
「よし!そのまま!」
と言いながら近づいた途端、隙をついてレベッカは拳で
ニックを殴りつけそのまま逃げ出そうとした。
 しかしそこに尾崎が大ジャンプしてレベッカの両腕を手錠で固定した。
 レベッカは抵抗して腹から触手を伸ばし、尾崎の首に巻き付けた。
尾崎は呼吸が出来ず、しばらく苦しんでいたが、カイザーの能力の念動力で
首に巻きついていた触手を引きはがし、さらに8本の触手を強引に押さえ付けた。
 ジーナがシャランの左足をレーザーで打ち抜き、動け無くした。
またその他のミュータント兵達はメイスンを取り押さえた。
 その後、彼らは網走の警察署内に拘束された。

 網走の病院で蓮と洋子は一緒に
「ミュータントの少子化高齢化社会」に関するニュース特集を見ていた。
洋子は
「世界中でミュータントの総人口が減っているなんて……」
すると蓮は少し笑いながら
「それは自然界ではよくある事さ!」
と答えた。洋子は少し顔を曇らせながら
「どうして?」
と聞いた。
蓮は自慢げな表情で
「それはミュータントがあまりにも強すぎるからさ!」
洋子は子供の様に顔を輝かせながら
「どういう事?」
と聞いた。
蓮は
「彼らは人並み外れた運動能力持ち、戦う為にその力を進化さ
せた!しかしその力があっても自然の力には敵わないさ!
人類も同じさ!ミュータントが増え過ぎればいずれ自然のサイクル
が崩壊する事になる!だから自然に数が抑制されているのさ!」
洋子は
「唯一のミュータントの天敵が『カイザー』なのかしら?」
蓮は
「かもね……でも『カイザー』だって!ミュータントやX星人
を上回る運動能力と念動力を持っている!
やっぱり力があまりにも強すぎる!
だからそれを抑制する必要が自然にはある!
『全てを支配する力』はまずあり得ないからね!
それはアニメやSFアクション映画や漫画だけの話さ!」
と苦笑しながら言った。
 別の病室では凛と友紀が蓮と洋子について話していた。
友紀は
「結局ゴジラは現れなかったわね……」
凛は
「それにしても……友紀ちゃんと長野先生を襲ったあの女は何かしら?」
友紀は
「さあ……でも右腕に鱗があって、ヒグマみたいな爪を持って
いたから普通の人間じゃないわね!」
と幾分深刻な表情で言った。

(第27章に続く)

職場から帰ったらもう2つ変更します。
では♪♪