(第45章)サンドラの悲痛なメッセージ

こんばんわ!
職場から帰って来た畑内です。
ゴジラの自作小説を載せます。

(第45章)サンドラの悲痛なメッセージ

サンドラは、ゴジラを腹から飛び出した8本の触手で投げ飛ばした後、
漆黒のプテラノドンに似た翼を広げ、超音速で真っ直ぐ4人のテロリストや
凛達がいる網走厚生病院へ向かって行った。

ゴジラは降り積もった高層ビルの瓦礫を弾き飛ばし、
背びれを青白く光らせ、放射熱線を吐いた。
しかしサンドラは一瞬振り向き放射熱線を確認すると、
空中でホバリングしてブレーキをかけ、身体を一回転させて振り向き、
同時に冷凍光弾を放った。
放射熱線と冷凍光弾は空中でぶつかり合い、
「バリバリ!バーン!」と音を立てて、水蒸気爆発を起こした。
 ゴジラとサンドラは超音速で吹き飛ばされ、サンドラはその
まま民家に墜落し、ゴジラも次々とマンションを貫通した。

 病棟の廊下を凛は考え事をしながら一人走っていた。
 その時、ふと小さい声で
「凛ちゃん!」
と何度も呼びかける声が聞こえた。
凛はその声を聞き
「山岸くん??」
と言うと周りを見渡した。
廊下には誰もいなかった。
しかし隣の部屋で山岸が折れていない手で必死に手招きしていた。
凛はすぐに誰かいないか周りを確認すると
「何してるの??ここは危険よ!」
山岸は
「でも!君も危険だ!」
凛は小さい声で
「早く部屋に戻って!」
と説得を始めた。
山岸は
「それなら君も早く戻るべきだ!」
凛は
「でも……」
と口ごもった。
山岸は決意した表情で
「君も行くなら!僕も行くよ!」
凛は困ってしばらく黙っていた。
 その瞬間、凛の脳裏に怪獣化したサンドラの声が聞こえた
「助けて……真実を見つけて……ガーニャ……」
そして声は止んだ。
狭い床下の通気口を進んでいた連の脳裏にも凛と同じ怪獣化し
たサンドラの助けを求める声が聞こえた。
蓮は冷たく
「またか?自業自得のしつこい女だな!」
と独り言のように呟いた。
凛は
「また!彼女の声だわ!ガーニャ??どこかで聞いたことがある……」
山岸は
「確か?カナダの大学の……手掛かりはそれだけか?」
と2人はしばらく部屋に隠れて腕組みをして、どうしたら助け
を求めている彼女の命を救えるのか考え込んだ。
 その足下の通気口でサンドラのメッセージを聞いた蓮も、
どうしたらサンドラと凛を殺して怪獣化したサンドラ
のデータを抹消できるか真剣に考えていた。
 その様子を後ろから見ていた洋子は心配の余り
「ねえ……大丈夫??また何か無茶な事を考えていない??」
しかし蓮は作り笑いをしながら無理矢理明るい声で
「大丈夫だよ!」
と返した。

 ジュンは普通に起き上がり、黒いコートから2枚の資料を地球防衛軍
特殊犯罪調査部の関係者に渡した。
 1枚目の資料には、以前逮捕された
レイ容疑者の機械人形の供述通り、ゴジラのDNAを始め、クリオネやヒグマ、
『デスバガンバクテリア』や美雪と凛のG塩基の量は極めて少量と記載されていた。
 更にその下にテープで貼り付けられていた小さなメモを見ると、
そこにはロシア語で「上記の資料はレベッカ、シャラン、メイスン、レイによる偽装資料と判明。
発覚時には事態は既に進展……」と書かれていた。
 しかし資料をめくって読み進めていく内に地球防衛軍の特殊
犯罪調査部の関係者の表情がみるみる青くなった。
「こっ!……これは信じられない……」
と驚きのあまり声が上ずっていた。
 2枚目の資料に記載されているのはゴジラのDNAのみの純粋なオルガナイザーG1であり、
その3つのオルガナイザーG1にヒグマやクリオネを始め様々生物の
DNAは一切含まれていなかった。
ただし凛と美雪のG塩基は多く含まれていた。
 この資料の裏にもガムテープで固定された小さいメモ用紙があった。
そのメモには走り書きで
「母へ……この資料を……ガーニャ達に……
怖い!寝るのが怖い!
自分が自分では無くなる!
仲間に助けを求めようとしても出来ない……自分の意志とは関係無く殺してしまう……
苦しい……もう正気を保てない……
身体が急速に変化している……限界……仲間の長野と洋子を殺そうとした……
誰かが止めてくれた……助けを求められず舌打ちした……
窓から逃げた……何人も殺した……全て自分の意思?
それとも?悪魔が囁いているの……もう……嫌……死なせて!
ガーニャ!騙したあいつらが憎い!
でも騙された自分も悪い……自分が腹ただしい!
助けて……これが届くころにはあたしの心は……C・A・K」
地球防衛軍の特殊犯罪調査部の関係者は
深刻な表情でサンドラの悲痛なメッセージ
を何度も繰り返し読んでいた。

(第46章に続く)