(第2章)激戦

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(第2章)激戦

ゴジラの暁色の熱線と謎の生物の黄金の光線が互いにぶつかり合い
徐々に暁色の熱線が押され始めた。地上ではゴジラは地面をふんばるが、少しずつバランスが後ろに傾き始めた。
「巨大生物からの光線!!地上に到達まであと1分50秒です!!」
「あと1分30秒!!」
大気圏では暁の放射熱線と巨大生物の光線の比率が短くなっていく、
「あと1分10秒を切りました!!」
波川司令は「まさか・・・ゴジラの熱線を・・・信じられない・・・」
と驚愕していた。
アヤノが「地上到達まであと20秒!!」
ジェレルが「あと10秒です!!」
ゴジラの暁色の熱線は極端に短くなり、地上へ黄金の光線がすでに迫っていた。
テヘラン上空の雲がこじあけられる様に広がって消えたかと思うと、ものすごい轟音と共に黄金の光線がゴジラに向かって迫った。
それはゴジラの胸をかすめ、地上に到達した瞬間に大爆発が起こり、
半径100kmのビルや建物が吹き飛んだ。
やがて瓦礫の中からゴジラが姿を現したとき、その胸には深い傷跡を残していた。
傷は深く胸全体がほとんど傷だった。
その後ゴジラは血の跡を点々と残して、ふらふらと海へ去った。
地球防衛軍一同はただ茫然としていたが、沈黙を破るようにアヤノが
「巨大生物!!依然として月に停止したまま動きません!!」
と言った。
ジェレルが続いて「巨大生物移動!!東京上空へ!!」
波川司令が「なんですって!!」と大声で言った。
その巨大生物はCCIのミサイル基地を壊滅させると
全ての軍のレーダから跡形もなく消失した。
地球防衛軍では「目標・・・東京上空で消失・・」
波川司令は「そんなバカな!!あんなに巨大なのに!!」
少し落ち着かない様子でうろうろ歩きまわっていたが、
ふと足を止めて、「まさか?Ⅹ星人?」とつぶやいた。
東京上空に現れた巨大生物が突如東京上空で消失した事について、
新聞や各メディアがトップニュースとして、テレビや雑誌で騒がれていた。
日東アナウンサーで音無美雪の姉の音無杏奈によれば、
CCIの局長で内閣官房副長官だった野中剣士の弟の野中元のコメントは
「今,我々が探しているところだ!!何あれだけ巨大だからすぐに見つかりますよ」
とタカをくくったものだった。
地球防衛軍とCCIの分析では、相手は全長150m、翼長400mで、ほぼ光速で飛行できるらしい。
黄金の光線やバリアを分析した結果は不明である。物理生物学者達は
「恐らく反重力で作られているのだろう」と推測した。
そして肝心の巨大生物だが、いくら地球上の上空や山脈、海底をCCIが血眼になって
探しても影も形も見当たらないのである。
一方東京仮設研究所ではM塩基について、尾崎真一と神宮寺博士、
美雪、覇王、ダグラスゴードン大佐が話していた。
神宮寺博士は「最近そのⅩ星人の怪獣達と戦ったゴジラの個体を改めて調査した結果
そのゴジラは小笠原怪獣ランドで管理と飼育されていた個体だった。」
尾崎は「えっ?あれは確か初代ゴジラが生存して…」
すると神宮寺博士は「それは誤りだった」と言った。
そしてゴードン大佐が「それじゃ俺達が南極の氷の中に閉じ込めたのは…」
神宮寺博士は
「そうだよ大佐、それなら話が早い。それで私もM塩基を研究するために国連と連携で
小笠原怪獣ランドにいる9体の怪獣と、Ⅹ星人の戦いで生き残った4体の怪獣の研究と管理をしている。
さらに9体の怪獣を調査した結果、M塩基が検出されている。
つまりⅩ星人を始め、今まで地球を襲撃した幾つもの惑星の高度な科学技術を持った
宇宙人達はこのM塩基のテレパシーによる支配技術を応用して
怪獣達をコントロールしていた可能性が高いと思う」
と説明した。
前作のX星人総攻撃により、東京を始め
世界中は壊滅状態に追い込まれていたが、
南極で復活したゴジラ地球防衛軍の尾崎、美雪、ゴードン大佐
の乗った新・轟天号の活躍によりX星人は全滅し、地球は救われた。
しかしこの跡片付けが大変だった。
例えばゴジラとモンスターⅩの戦いにより、
東京を中心に1000m程のクレーターが出来上がり
それを埋め合わせる為に数万台のトラックが他の場所(海や山)
から土を運び何とか半分まで埋め立てたが・・・
一番の問題は、東京23区の全長1500kmの下水道の殆どが
長年の生活排水によりコンクリートの表面が劣化していたことである。その為なんとか一部の下水管をつないでまかなえてはいるが、それがせいいっぱいだった。
初代ゴジラや怪獣たちが地上で暴れたおかげで下水道のコンクリート
ひびだらけだ。おかげで今まで下水道が破裂したり、逆流したりなどの事故が多発している。老朽化した下水道を全て新しく取り変えるのは50年以上先の話である。
またせっかく埋めてコンクリートで固めても、怪獣が暴れたら一からやり直しである。
こちらは東京の仮ゴミ捨て場。突然ゴミの山から手が飛び出し一人の男がフラフラと現れた。「おれは何者だ?ここはどこだ?」と機械のように言い、東京の街をさまよった。何か思い出そうとすると吐き気がした。よくわからないが記憶喪失らしい。
男はまたふらりと復興途中の東京の街を見ながら「おれは誰だ…」
とうわ言のようにつぶやいた。
男は知らない間にビルの裏に入って行った。

「美雪の家」

朝5時に朝食の途中
妹の美雪が「あーあもっとかっこいい男居ないかな・・・」
すると姉の安奈が「あら…もう要るじゃない尾崎君」
美雪は「えっ…まあいいけど」
とトーストをかじりながら雑誌の占いを見た。
「そこには運命の人と出会えるチャンス」
と書いてあった。
それから次のページの、何故かマンガの世界で王子が姫を助けて
「大丈夫ですか?」と聞くページを見るとすぐに閉じた。
美雪は「まさかね…」とつぶやいた。
しかし美雪の心の中では『本当にあったらいいな!』と密かに想っていた。

(第3章に続く)

では♪♪