(第27章)幻想

(第27章)幻想

医務室のベッドで凛は高熱と激しい痛みに苦しみながら母親の美雪に何かを訴えようとしていた。
美雪はクリーンウェアーとマスクを着用して病室に入って行った。
凛は
ゴジラと……ジュニア……バガンと戦っているの?」
美雪は
「ええ……戦っているわ……」
凛は息を切らしながらあわてて
「大変!あれは闇の森の神の魂の一部で……ゴジラもジュニアもバガンの一部になるわ!……
あれが人にふれると幻覚を起こすの……このままじゃ危ないわ!」
美雪は
「どうしてそれを?」
凛は
「夢で見たの……ゴジラとジュニアが幻覚で苦しむ様子が……
行かなきゃ……助けなきゃ!」
と立ち上がろうとしたが半身が麻痺して全く動けなかった。
それでも凛は必死に立ち上がろうとした。
しかし右半身に強い痛みが走り、凜は悲鳴を上げ、ベッドに倒れ込んだ。
美雪が見ると右半身に寄生していた『例の寄生生物』
が今度は左半身に向かってじわじわと移動していた。

凶暴化したバガンは再びゴジラに襲いかかった。
ゴジラは長く伸びたバガンの爪に噛み付くとそのまま爪をかみ砕いた。
バガンは爪をかみ砕かれ、悲鳴を上げたが、再び大口を開けてサメの様な牙で噛
み付こうとした。しかしゴジラバガンの顎を掴み投げ飛ばした。
バガンは宙に舞い地面に倒れた。
しかし再び物凄いスピードで立ち上がった。
そこにジュニアが体当たりしたが、何かにはじき飛ばされ、地面に叩きつけられた。
ジュニアが見るとバガンの姿は消えていた。
かわりに悪魔の様な5枚の深紅の翼と両肩からトゲ状の長い鞭の様な触手、
頭部に長い角が生えた甲殻類の様な怪獣が現れた。
救助艇のアヤノは
「そんな……」
ジュニアはその甲殻類の様な怪獣に向かって放射熱線を吐いた。
その甲殻類の様な怪獣も口から光線を吐いた。
そして光線は互いにぶつかり合い爆発した。
ジュニアは吹き飛ばされ、ゴジラとぶつかって倒れ、その下敷きになった。
瓦礫を吹き飛ばし、ゴジラが立ち上がった直後、別の方向からゴジラに向かって何かが突っ込んだ。
ゴジラはすぐに立ち上がり、驚いた。
背びれを持つ灰色の恐竜が立っていた。
救助艇でジェレルが
「初代ゴジラ出現!」
密輸船の船長が両手を振りながら
「一体?どうなってるんだ??」
と大声で言った。
アヤノは
「分からないわ!」
と返した。

友紀は田舎町の近くの森へ避難してから、長い間、凛の行方の
手掛かりを掴もうと小さな鏡とにらめっこをしていた。
中国のレスキュー隊が駆けつけ、怪我した住民を救急車に乗せる為、担架で運び出した。
友紀は小さな鏡とのにらめっこを止めて立ち上がると、カメラを持って、
破壊された上海の田舎町の様子の撮影を始めた。
小型船の周りに米軍の戦闘機や地球防衛のランブリング、
エクレール、火竜が上空で止まっていた。
やがてバリアの様なものに穴が開いた。
気味の悪い触手を広げた黒い竜が瓦礫の山に向かって七色の光線を吐こうとした
時、突然「バキバキ」と音がした。
周りのレスキュー隊や住民には、驚いてそれを呆然と眺める者もいれば携帯で写真を撮る物もいた。
友紀はカメラを回し続けた。瓦礫の山を引き裂いて、
ゴジラとジュニアが青白いギザギザの翼を広げながら立ち上がり、
黒い竜が吐いた七色の光線を吸収して放射熱線で黒い竜の頭部や心臓を破壊した。
そして大爆発によりビデオカメラが激しくブレて倒れた。
住民やレスキュー隊も全員一時パニックになった。
友紀はようやく茂みの中にカメラを見つけた。カメラのレンズはどこかにぶつけ
て少しヒビが入っていたがカメラ自体は無事だった。

X星人の小型船はそのまま救助艇のドッグに収容された。
そして尾崎達は拘束した高新一を救助艇内の独房に閉じ込めた。
そして凛はそのまま救助艇の医療室に搬送された。
バガンの姿が無くなり、代わりに
甲殻類の様な怪獣を確認した時、友紀は恐怖で背筋が凍りついた。
友紀は
「そんな……」
とつぶやくと思わずカメラを芝生に落とした。
レスキュー隊の一人が中国語で
「ここは危険です!」
と言うのが聞こえると友紀は我に返り、カメラを持ってまるでその甲殻類の様な
怪獣から死に物狂いで逃げる様にさらに森の奥に避難した。
しかしその直後、友紀が田舎町の方を振り返って見ると、甲殻類の怪獣の姿は消
えて灰色の恐竜が現れていた。
友紀は突然の出来事に足を止め、
「あれは……初代ゴジラ?どうなっているの?」
とつぶやいた。

(第28章に続く)

今日のゴジラの自作小説の変更はここまでです。
では♪♪