(第11章)真実

おはようございます。
畑内です。
ゴジラの自作小説を載せます。

(第11章)真実

友紀の話を聞いた両親は驚き、信じられないという口調で
「まさか??嘘よね?家の子に限って」
と大声で言った。
しかし友紀は「本当なの」
と嘘泣きでは無く本当に泣きながら必至に訴えた。
仲間の女子生徒も
「今まで御免なさい!!もう2度としません!!」
と大泣きしながら3人のオタク達に何度も謝った。
そして友紀と仲間達は凛に
「御免なさい……ありがとう……」
と言った。凛は
「どういたしまして……」
と恥ずかしそうに言った。
その後友紀とその仲間達は2度とカツアゲや万引き・イジメをやらなくなった。
凛と友紀と5人の女子生徒、3人のオタク達は周りの生徒が驚く程
仲良しになった。しかしそれをキッカケに色々な噂が全校の生徒たちの
間でささやかれた。全校の不良達は何故か凛を恐れる様になった。
学校でいじめが前に比べて激減していた。
不良達の間から凛は「影の支配者」と言うあだ名をつけられていた。
しかし恐れているのは不良だけで、オタク達は相変わらず寄ってくるし、
中国の古書を読むのに熱中していた凛はそんなことをほとんど気にし
ている余裕がなかった。実は彼女は自分の父親の真相を確かめるべく行動を始めていたからである。

東京の練馬区特殊生物の極秘地下研究所で
美雪と神宮寺博士はデストロイアに研究について話していた。
その時、そこに凛と金田トオルが入って来た。
美雪は驚いた様に
「ちょっと!!何しに来たんですか??」
とあわててトオルを追い出そうとした。
しかし凛が
「やめて!!」
と大声で言った。
そして神宮寺博士がトオルの隣に現れた。
美雪は「どうして?」
凛は
「知りたいの……真実を……」
美雪は
「だからって!!駄目なの!!勝手に部外者を出入りさせちゃ!!
それにあなたが真実を知るのにはまだ速いわ!!」
と怒鳴った。しかし凛は反対する美雪を無視してトオル
「お願い……金田さん……すべての真実を。父の行方を……」
と涙を流しながら訴えた。
全員の沈黙の後、今までの会話を聞いていた神宮寺博士が
「美雪さん……もうそろそろ話してあげたらどうです?
これ以上は隠し通せませんよ……だから私が許可して彼を連れてきたんです」
と言った。
美雪は「でも!!」
しかし凛は「お願い……」と小さい声で訴えた。
美雪は頷いた。
金田は「それでは話しますよ……少しショックを受けるかも知れません……それでもいいですか?」
凛は「それでも構いません!!……話してください……お願いします……」
と丁寧にお辞儀しながら言った。
金田は
「やれやれ。あなたの様な可愛い子に涙まで
見せられて断るわけにはいきませんからね……」
と言った。やがてトオルが凛の実の父親、覇王圭介の正体と
行方を話し始めると、凛は驚いて美雪の顔を見た。
凛は驚きつつも、一度もトオルの言葉を聞き洩らすこと無く聞いていた。
トオルは話を続けながら美雪と凛の顔を交互に観察し、自説を話すと
「それではこれで失礼します!!」
と言ってCCIの本部に戻って行った。
その後美雪と凛は自宅に帰り、姉の杏奈と共に
真鶴で美雪の両親に聞かせた覇王のテープを聞いた。
凛はただひたすら聞いていた。初めて聞く父親の肉声に感動して
涙が出そうになった。凛はテープを聞いている間
「確かに……だから……」
とつぶやいた。
美雪も
「そう……だから決してあたし達を捨てた訳じゃなくて
これ以上あたしや地球防衛軍の人達に迷惑をかけちゃ
いけないと思っていたのね……」
とつぶやいた。
テープが止まると美雪は静かに涙を流し、杏奈も泣いていた。
凛は床に力無く座り込み、父親の優しさに触れて大粒の涙を流した。
凛は手で涙をぬぐいながら
「御免なさい……今まで誤解していたわ……信じられない……お父さんの事をずっと憎んでいた!!」
と泣きじゃくりながら言った。
美雪は
「今まで辛かったでしょ……御免ね。何も出来なくて……」
と泣きながら言った。凛はしゃくりあげながら
「『殺してやりたい!!』とさえ思っていた……今までずっと……
なのに……なのに……そんな……あたし馬鹿よ!!本当の馬鹿野郎よ!!
あ~あ自分がみじめになってきた……」
と言って、美雪に抱きつき、声がかれるまで泣き続けた。

(第12章に続く)