(第27章)尾崎の嫉妬

(第27章)尾崎の嫉妬

美雪と覇王と神宮寺博士は、外国や日本国内に届いた怪獣のDNAデータファイルを整理していた。
あるアメリカのデータファイルにはタコかミミズか良く分か
らない絵が載っていた。
別の日本のデータファイルには亀の様な怪獣が載っていた。
更にめくってみるとコウモリの様な怪獣も載っていた。
しばらくして整理が終わると覇王の方から
「腹減ったな」
と言った。すると美雪が
「夕食一緒に食べる?」
と言った。
神宮寺博士は
「私はいいから行ってきなさい」
と言った。覇王は
「そうだな……」
と返すと2人は近くのレストランで食事を取る事にした。
その現場を偶然通りかかった尾崎とゴードン大佐が目撃した。
尾崎は「アイツ」と言うと密かにゴードン大佐を連れて、
同じレストランに入った。
最初ゴードン大佐は「やめておけ!」
と言ったが、尾崎は言う事を聞かなかった。
尾崎は少し怒ってさえいた。
それでゴードン大佐は半ば呆れかえっていたが、仕方なく付いて行った。美雪と
尾崎を見つけると隣に座った。覇王は夕食を食べ終えて、ポケットから指輪を取り出そうとしていたが、突然尾崎が割り込んできた為に指輪を取り出せず「チッ!」と舌打ちした。
そして尾崎に
「2人で何してたの?」
とキツイ調子で言われたので少し腹が立つのを感じた。
覇王も
「俺は警護のついでに夕食を取りにきただけだ!お前こそ国連の警護はどうした
んだ?」
とキツイ調子で言い返した。
尾崎は
「もしかして警護をサボってデートのつもりか?」
美雪は顔が赤くなり
「あたしが誘ったけど彼は警護をサボってなんかいないわ!」
しばらく気不味いムードが流れた。
ゴードン大佐が
「もう!その辺にしとけ!」
と大声で言った。覇王は思った。
いつもの「優しさ」を第一に考える尾崎とは違う。何か良く分からないが美雪の
事になると過剰に反応している。
そして覇王は
「いつもの『優しさ』はどうした?お前は俺に負けた事をまだ根に持っているのか?」
尾崎は
「お前は俺から『ミュータント』としての誇りを奪った!そしてまだ!信頼関係
や一人の女性まで奪うつもりか!?」
と激しく怒鳴りつけた。
覇王はやはりいつもと違うのは確かだと思った。
しかも彼からは微量のアルコールの匂いもした。
ゴードン大佐は
「すまない……どうやら近くのおでん屋でヤケ酒を飲んでいたらしい……」
と言った。
美雪は
「どうして?第一あなたは勤務中でしょ!」
と信じられない様に言った。
ちなみに覇王は勤務中だからメロンソーダーで我慢していたのだ。
ゴジラは長い間、初代ゴジラと若き天才博士芹澤大助の魂が眠る海底で静かに立っていた。
何故ここに長い間いるのか?それは人間がよくやる墓参りの様なものなのか?ゴ
ジラが顔を上げると静かにふる雪の様にマリンスノーが降り注いでいた。そして
ゴジラは海面に向かって上昇し始めた。一体ゴジラは、死んだ初代ゴジラに何を想っていたのだろうか?それは皆さんがあれこれ想像してみるといい。
レストランでは3人の喧嘩が続いていた。
覇王が
「おこがましいとも思うが……俺が毎日美雪ばかり警護している事に何か関係が
あるのか?
尾崎は
「別に!」
とそっけなく返したが覇王が
「そうか……やっぱりそれが関係あるんだな……」
とつぶやいた時、突然尾崎が大声を張り上げ
「だから関係ないって言ってるだろ!」
すると美雪が
「やめてよ2人ともこんな所で!」
尾崎は「クソ!」と言うなり、逃げる様に出て行こうとした。
そこへ覇王が
「俺の事が嫌いか?だったら勝手にしやがれ馬鹿野郎!」
と罵声を浴びせた。美雪は
「やめなさい!」
と泣きながら言った。覇王は少し困った。美雪は立ち上がり、尾崎の後を追って
レストランを出て行った。
覇王はあわててお金を払うと美雪の後を追った。
ゴードン大佐もそれに続いた。近くの公園で美雪が
「待ってよ!どうして逃げるのよ!」
すると尾崎が
「何だ!ほっといてくれ!」
美雪は
「ねえ……なんだか最近変よ!いつもの尾崎君じゃないわ。ヤケ酒なんかして一
体何があったの?」
尾崎は
「何でも無いって言っているだろ!」
と大声で返した。するとそこに覇王が現れた。

(第28章に続く)