(第37章)生きろ!!

こんばんわ
職場帰りの畑内です。
最近、北海道では寒くなったり、温かくなったりと
どっちかはっきりしない天気が続いています。
もうすぐで冬ですね……
ゴジラの自作小説を載せます。

(第37章)生きろ!!

覇王の
「先に行け!」
と苦しそうな声が聞こえた。
尾崎は
「しかし……」
覇王は
「俺はこれ以上人が死ぬのは見たくないぞ!」
尾崎は
「何!?お前も死ぬ気か?」
と大声で返した。
覇王は
「いいから行け!崩れるのは時間の問題だ!」
そして銃声が聞こえた。
「行くんだ!尾崎!生きろ!」
と言う覇王の声を最後に何も聞こえ無くなった。
尾崎は涙を流し、
「覇王……君を誤解していた……本当にすまなかった……」
とつぶやくとゴードン大佐とM機関と共に装甲車で全員脱出した。
廃ビルから脱出した地球防衛軍M機関のミュータント部隊やゴードン大佐、尾崎
はすぐに装甲車に乗り込み全速力で廃ビルから離れた。
その時、ジェレルが突然
「廃ビル内に高エネルギー反応!」
尾崎はジェレルが見ている画面を見た瞬間、驚愕した様に
「このタイプは?まさか??」
ジェレルは
「ケーニッヒギドラです!」
突然、廃ビルが何の前触れも無く大爆発を起こした。
M機関や尾崎達が乗っていた装甲車は激しい爆風で吹き飛ばされ、
地面を転がり、近くの商店街のショーウインドウに叩きつけられて止まった。
黄金に輝く150mの巨体が廃ビルの残骸から立ち上がり、クロスさせた腕を広
げた。3つの首が持ち上がり、円状に廃ビルの破片が吹き飛んだ。
「あらゆる人間が感じる全てを味わい尽くし!人の達する最高のものを!この精
神のみで!到達し己の自我を全人類の自我にまで押し広げ!
人類そのものと!運命を共にして共に砕けよう!」
ケーニッヒギドラは咆哮と共にそう大声で言うと閉じていた
400mの翼を全開にした。
ショーウインドウに叩きつけられ、ひっくり返った装甲車の助手席で
尾崎はケーニッヒギドラの咆哮を聞いて
ゲーテファウストのセリフ?バカな……」
とつぶやくと気絶した。やがて尾崎はゴードン大佐や杏子、カンナに装甲車の外
に助け出された。ちなみに尾崎を助け出した3人を含めミュータント兵全員には、
ケーニッヒギドラの咆哮だけで、ファウストの台詞は聞こえなかった。
そこにゴジラが上陸した。
2体は東京タワーをバックに対峙した。
ケーニッヒギドラは両腕を広げた。全身の黄金の鱗の上にはオレンジ色の稲妻の
様な古い傷跡が所狭しとあり、ケーニッヒギドラは威嚇する様に激しい声で唸って、
まるで全身の古傷を誇示するかの様に吠え、
ゴジラにその大量の古傷をまざまざと見せつけた。
挑発されたゴジラも吠え返し、唸り声を上げながら、
全身が大きく見える様に両腕を広げ身体を動かした。
両者とも睨みあい威嚇の唸り声や吠え声を上げながら
しばらくじっとその場を動かなかった。
ゴジラは怒りと憎悪に燃えていた。
ケーニッヒギドラも同じだった。
互いに殺気を飛ばし合い、それでもその場を動かない。
やがて小雨が降り始め両者の身体を濡らした。
両者の唸り声や吠え声がピタリと止み、長い沈黙が訪れた。
沈黙を先に破ったのはゴジラだった。
ゴジラは突然、挑戦的な遠吠えをするとケーニッヒギドラに襲いかかった。
しかしケーニッヒギドラはその流れをまるで熟知しているかのように、
冷静にゴジラの首を両手でつかんで締め付け左右のビルに激しく叩きつけた。
そして地下鉄の天井を破壊して、たちまち
ゴジラを地下のコンクリートで固めた地面にねじ伏せた。
ゴジラとケーニッヒギドラの戦闘の中、ショーウィンドウに叩きつけられた装甲
車から脱出したゴードン大佐は、サラジア共和国のエージェントに撃たれた美雪
を抱えて、廃墟の街を仲間のミュータント共に必死に彷徨った。そのうち東京の
上空にCCIの救助艇が現れ、幸いにも無事全員生還した。
腹部を撃たれた美雪はそのまま真鶴の病院に担ぎ込まれた。
昏睡状態の美雪は生死の境をさ迷っていた。
その美雪の意識に小美人の声が聞こえた。
「美雪さん……」
美雪の周りにあの夢で見たのと同じ廃墟になった東京の街が映し出された。
その東京では、ケーニッヒギドラが地下鉄のコンクリート
地面に倒れたゴジラの首を強く締め付けていた。
しかしゴジラはそのケーニッヒギドラの両腕に鋭い爪を突き立てた。
ケーニッヒギドラは痛みのあまり両腕を離し、こちらも怒り狂って荒れ狂う猛獣のように、
長く鋭い爪をゴジラの顔面に何度も叩きつけた。
ゴジラも怒りの唸り声を上げて、ケーニッヒギドラの右腕に噛み付いた。
ケーニッヒギドラは左の鋭い爪でゴジラのノドを切り裂こうとした。
しかしゴジラは再び右の腕に噛み付いた。
その様子をただ茫然と見ていた美雪は
「まさか?あの黄金の竜って?あたしの夢に何度も出ていた……」
すると小美人はしばらくして
「あなたの夢に何度も出ていた黄金の竜はケーニッヒギドラです!そして……」
と一度言葉を切った。
美雪は
「そして?何なの?」
小美人は美雪達分子生物学者の常識を根本的に覆す衝撃的な発言をした。

(第38章に続く)