(第42章)MB計画

(第42章)MB計画

男性のFBI捜査官は見つけた白いファイルを何気無く読み始めた。
そのファイルにはこう書いてあった。
「寄生生物のDNAを元に人工的に作り出されたMウィルス初の実験体『MB計画』」。
さらに読むと「実験体として、地球で瀕死の重傷で回収されたオスの黒い宇宙怪獣
バガン』と言う個体を利用する。
また隣にいたメスと思われる七色の翼の新種のギドラの死体も回収され、
X星の研究所に送られたが、その後の行方は不明のままである。
一方その実験体となったオスのバガンは地下研究所の巨大カプセルの中に入れられ、
Mウィルス(塩基に近い働きもするらしいので通称『M塩基』)を長い期間、投与され続けていた。」
とまで男性のFBIの捜査官が読んだ時、遠くで尾崎が英語で
「何している!!早く手伝え!!」
と大声で叱りつけた。
彼はそのファイルをカバンにしまおうとした。
するとFBIの女性捜査官がその白いファイルに気が付き
「これは?どこで?」
と聞いた。
彼は錆付いた机の方を指さしながら
「そこの錆付いた机から見つけた」
と答えた。
彼女は
「見せて!」
と言うなりファイルを取り上げた。
FBI捜査官の男性は尾崎や他の米軍兵士と共に落石を取り除く作業を手伝い始めた。
彼女はその白いファイルの続きを彼の代わりに読み始めた。
「そのバガンはテレパシーによるコントロール実験の為、広い飼育室に移された。
実験は何度も試みたが思った程成果が上がらず、しばらく
このバガンの実験体の存在は飼育小屋の片隅で忘れ去られた。
それから数百年後、彼らは再びバガンの実験体を使って、
Mウィルスの研究を再開した。
そしてバガンの体内にはそのMウィルスに対する抗体が生まれている事が分かった。
その抗体を持つ生物は何万分の一の確率で出現するらしい。
これが『カイザー第1号』である。
しかしそのバガンはMウィルスに対して抗体を持つだけでは無く、変異したMウィルスの
影響により、手の付けられない凶暴な生き物と化していた。
しかしまだ念動力の様な能力は確認されていなかった。

それが確認されたのはこの『BM実験』から数千年後に行われたX星人と地球人のハーフの実験である。
変異したMウィルスの血液サンプルを採取したのち、
バガンの廃棄が正式に決定したのですぐにバガンは殺され、地下の実験体廃棄場所に捨てられた。」
と驚きの事実が書かれていた。
彼女はその事実にただ唖然と白いファイルを見ていた。
そこへ尾崎が
「どうした……」
と言って歩いて来た。
彼女は白いファイルにしまわれた様々な実験体の失敗作の写真を見て吐き気で口を押さえながら
「物凄い大発見……でも!ひどい内容……」
とつぶやくとその白いファイルをFBI捜査官の男性のカバンにしまい、
再び落石をどかす作業の手伝いを始めた。

崩れた岩の向こうで凛は暇があれば黒い龍や助けを求めた男性らしき声について考えていた。
凛の心の中では「もしかして?ジュニア?」と思っていた。
しかしジュニアにしてはあの黒い龍はどう考えてもジュニアには見えなかった。
また「もしかして助けを呼んだのはゴジラ?」とも思ったが
ゴジラだとしても姿が何だか違う気がした。
ゴジラでもジュニアでもないとしたら?一体?あの黒い龍は何者だろうか?
助けを求める男性らしき声についても考えてみたが、ジュニアやゴジラよりかなり年配の声の様な気がする?
あるいは暁のアメーバに殺された大勢の人々の中の一人の男性の声?
と色々考えてみるが、結局、謎は解けないままだった。

(第43章に続く)