(第46章)3人の宇宙人……醜きその正体!

(第46章)3人の宇宙人……醜きその正体!

しばらく部屋に隠れて考え込んでいた2人はとりあえず先生達や洋子や蓮を探そうと、
周りに誰もいない事を確認して部屋の外へ出た瞬間
「見つけたわ!」
と大声が聞こえた。
山岸は
「マズイ!見つかった!」
というなり、凛の左手で手を掴み、
骨折して固定している右腕をかばいながら懸命に走り、病棟の入り口のドアまで来た。
 山岸は固く閉まった扉を何度も蹴って見たがドアはビクともしなかった。
 そこにシャランと先程、レイを射殺したメイスンとレベッカが拳銃を構え現れた。
山岸は大慌てで
「どうしよう!」
しかし凛は何故か冷静な顔をしていた。
そこに
「もう!逃げられないわ!」
レベッカ
「大人しく観念して……」
とメイスン。
「レイは何処?」
とシャラン
レベッカ
「さあ?もう2人のガキを探しているんじゃない??」
凛は拳銃を向けた3人を鋭い眼で睨みつけた。
凛はすぐにテロリスト2人がヌケヌケと嘘を付いている事を見抜いていた。
その時、別方向から
「観念するのはそっちの方だ!」
と声が聞こえ、大勢の国際警察、機動隊、地元の警察やガーニャ達が一斉に
火炎放射機やレーザー銃をつきつけていた。
ジーナは
「武器を捨てなさい!」
3人はすぐに拳銃を投げ捨てた。
しかしシャランは
「それで?あたし達から武器を奪って勝ったつもりかしら?」
と余裕の笑みを浮かべていた。
ジーナは
「みんな!気を付けて!正体を現すわよ!」
と鋭い声で周りの仲間に伝えた。
3人の両目がそれぞれ青色に輝き始めた。
しばらくしてガーニャが
「もう!逃げられないぞ!……
変身しても……無駄だ……諦めろ……」
凛はすぐにインファント島のお守りである小さい鏡を見た。
その場に居合わせた山岸もその鏡を覗いた瞬間
「アッ!」
と声を上げた。
その瞬間、「バーン!」と大きな音が聞こえ、
レベッカの腹からの伸びた一本の触手が凛の手から
黄金に発光する鏡を奪い取った。
 山岸は「ヒッ!」と小さい声を上げ、その場に尻もちを付いた。
 凛が睨みつけるとレベッカが嘲る様に
「古臭い鏡ね!」
と1本の触手にぶら下げた鏡を見ながら言った。
凛はレベッカを睨みつけ
「悪かったわね!」
と言い返した。
更にメイスンは
「あたし達の武器は拳銃だけだと思っているのかしら?」
ガーニャは
「来るぞ!」
と大声を上げ、機動隊は大きな盾を、国際警察や元FBI捜査官、
凛の護衛はレーザー銃や拳銃をそれぞれ構え、ガーニャ達も火炎放射機を構え戦闘態勢に入った。
長い膠着状態の中、今度は「バン!バン!バン!」と連続して破裂する、大きな音が聞こえた。
凛や山岸が見ると他のシャランやメイスンの腹から8本の触手が飛び出し、動き回っていた。
メイスンは
「あたし達の本当の恐ろしさを教えてあげる!」と言うと突然
「バリバリ!」と音が聞こえ、レベッカ、メイスン、
シャランの下顎が2つに大きく裂け、咆哮を天井に向かって上げた。
背中が裂け、全身が青黒く変色し、美人だったロシア人には程遠い、
蛇と蜘蛛を掛け合わせたような本来の宇宙人の姿に変貌した。
3体の宇宙人は醜い顔を凛や山岸、凛の護衛や元FBI捜査官の男、
ガーニャやその他大勢の機動隊、国際警察達に向けると、殺気を帯びた青い目で睨みつけた。

狭い床の通気口で洋子は暗闇の中、蓮に向かって
「ねえ?凛ちゃんと蓮君って?どんな関係なの?」
彼女の素朴な疑問だった。
蓮は
「もうすぐクリスマスイブだから……彼女が良い子供たちにプレゼントを配る優しいサンタクロースなら!僕は悪い子供を鞭で叩いて罰を与えるか、
あるいはその子供を大きな袋に詰めて地獄の底へ送る黒いサンタクロースの様な関係かな!」
洋子は怖い顔で
「なにそれ?答えになってない!」
蓮は
「ドイツの伝承でサンタクロースのモデルは聖ニコラウスと言う人なんだけど……
クランプスと言う2人の怪人を連れて悪い子供にはお仕置きをするそうだ!」
洋子は
「ふーん!」
と考え込んだ。
やがて僅かに漏れた光が見えたと同時に「バーン!バーン!バーン!」と大きな音が聞こえた。
洋子は
「何かしら?」
蓮も
「何だろう?」
と言うと、僅かな隙間から漏れた光で部屋を覗いた時、
洋子は3人の宇宙人の恐ろしい正体を目の当たりにした。
 洋子は、青い車と、蛇と蜘蛛を掛け合わせたような5人の女性の姿を鮮明に思い出し、
恐怖のあまり小さい悲鳴を上げた。

(第47章に続く)