(第48章)不良退治??

(第48章)不良退治??

長野先生は
「それじゃ他の生徒達に差を付ける事が出来ないわよ!」
と眼鏡をかけ直しながら言った。
しかし連はその言葉を無視する様に
「何て読むんですか?」
長野先生は少し厳しい顔で
「自分で調べなさい!」
と言った。
連は少しむっとした顔で
「何で教えてくれないんですか?先生は能面みたいな顔ですね……」
長野先生は
「能面ですって??」
と思わず大声を上げた。
たちまち周りからクスクス笑いが漏れた。
長野先生は
「なんて!破壊的な言動なのかしら!!」
とかなりカンカンになり、授業が終わるまでずっと転校したば
かりの蓮を睨みつけていた。
しかし蓮は次の数学や科学の授業で原田先生も驚く程の知識を持っていた。
やがて下校時間になり、蓮は校門前で山岸と洋子に出会い、
一緒に下校する事にした。
蓮は山岸に
「面白かったな……あの長野先生の顔!!」
と笑いながら言った。山岸は
「ちょっとやりすぎだよ!」
洋子も
「そうよ!いきなりあんな事を言って!転校早々あんた立場ヤ
バいわよ!」
と慎重に言った。山岸は
「そうだよ!一応原田先生がいるけど!長野先生には頭が上が
らないみたいだし……」
と注意を促した。しかし連は呑気に
「立場って何?」
と聞いて来た。
洋子はあきれ果てて
「あのね~」
と言った。
山岸も
「とにかく!気を付けた方がいいよ!特に長野先生にね!」
洋子は
「確か?昔は茶道の講師をしていたっけ?だったら礼儀作法に厳しいわね……」
と冷静に分析した。
しかし蓮は首を傾げながら2人の会話を聞いていた。

『音無凛誘拐事件』から数ヶ月後、ようやく元の日常に戻り、
あの事件をきっかけに友紀と凛の絆はより一層深まっていた。
それから、相変わらず恋人の山岸と凛の関係も続いていた。
ある日曜日の昼下がり、3人は、最近公園を占領している中学生の不良達と対峙していた。
その不良達は公園でテントを貼り、ガスボンベ式のエアガンを使って毎日コンバットごっこをし
ているらしく、『子供に向かってエアガンを使っている』と近所の奥様方の間で
たびたび噂になっていた。
それで困った近所の子供達から3人が依頼されたのである。
凛と山岸と友紀は公園の中心でその不良のリーダーと交渉を続けていた。
そのメンバー達は
「ここは!俺達の基地だ!」
と頑なに主張していた。それでも3人は粘り強く交渉を続けた。
周りからは
「ふざけるな!」
「このスパイめ!」
とヤジが飛んだ。リーダーは周りにいた部下たちを静かにさせると
「分かったか?ここは我々の基地だ!欲しかったら力ずくで奪えばいい!」
と挑発した。
凛は
「あたし達は喧嘩がしたくてここに来た訳じゃないの……」と
言った。しかし周りにいたメンバーはますます調子に乗って、
3人をはやし立てた。凛はそれを見て
「それなら……こうするわ!」
と言った。友紀と山岸が驚いた様子で凛の横顔を見た時、
首にかけていた小さな鏡が黄金に一瞬光った。
すると先程まではやし立てていた不良達はまるで稲妻に撃たれ
た様にしばらく呆然と立ち、互いに顔を見合した。

(第49章に続く)