(第27章)A群β溶血性レンサ球菌

おはようございます。
畑内です。
ゴジラの自作小説を載せます。

(第27章)A群β溶血性レンサ球菌

タトプロス博士と神宮寺博士は引き続き、
アパラチア山脈の洞窟内で発見された、大量の怪獣の食べ掛けの死体の細胞組織を調査していた。
そしてとうとうM塩基が作り出した特殊なタンパク質を破壊する
毒素の発生源を突き止める事に成功した。
 神宮寺博士はその毒素をまき散らす犯人の写真をタトプロス博士に見せた。
タトプロス博士は我が目を疑う表情でメガネをずり上げ、
「まさか?」
とオレンジ色の球状の紐の様な細菌の写真をまじまじと見た。
神宮寺博士はゴホン!と咳払いし、
「間違いありません!これはG塩基を組み込んだA群β溶血性
レンサ球菌です!全ての怪獣の細胞組織から検出されました!」
「つまり?M塩基破壊兵器の正体は……本当にG塩基を組み込
んだこの細菌ですか??」
神宮寺博士は頷き、その細菌の写真を指さしながら
「また!この恐るべき細菌は噛み傷やひっかき傷から感染する事が分かった!
しかも!それだけじゃないんだよ!タトプロス博士!」
と真剣なまなざしで彼の顔を見ると
「怪獣の死体から検出された細菌のほとんどはまだ生きていた!
つまりこの研究結果が意味するのは!
『他のM塩基を持つ他の怪獣が感染死した別のM塩基を持つ
個体の死体に触れただけでも皮膚を通して感染する危険性がかなり高い』事を示唆している!」
タトプロス博士は腕を組み
「傷口や皮膚からこの細菌が侵入する事で感染するのか?じゃ?潜伏期間は?」
神宮寺博士は首を傾げ
「分からない……ひょっとしたら存在しないのかも知れない!」
「ミュータントはM塩基を持っている!感染する危険性が高いな……」
「これでは……ミュータントやM塩基を持つ生物がこの地球上からいなくなってしまう……
どうすれば……」
と神宮寺博士は両手で頭を抱え込んでしまった。

 東京。
 コンビニの駐車場前で洋子は友紀の心配そうな表情を見て
無理矢理作り笑いを浮かべると、
すぐに心の内を悟られない内に話題を変えた。
「それより!10日後にアメリカに行くんでしょ?凄いわね!」
友紀ちゃんがデザインした下着が世界中の人々に愛用されて……いいな!」
と羨ましそうな顔で言った。
しばらくして洋子は
「そうだ!アメリカでの成功のお守りとしてこれをあげるわ!」
と言い、青緑色に輝くあの勾玉を差し出した。
「あたしは別にいいのよ!ほんのあたしの気持ちだから!」
友紀はは断り続けたが、とうとう折れて、
「ありがとう……」
と答えた。洋子は青緑色に発光する妖しい勾玉を友紀の両手に静かに置いた。
 それから30分程、世間話をしながら洋子につけ方を教えて貰い、
自分の首に掛けた後、2人は
「さよなら!」
と別れた。
その洋子の安易な行動が友達に思わぬ災いをもたらす事も知らずに……。

 真鶴・CCI特殊生物研究所内にある地下の『極秘特殊生物資料保管庫』。
 灰色の顎鬚を生やしたアメリカ人のビリー・ハイブスが
『CCI関係者以外立ち入り厳禁!』と書かれたドアを開けると、
その図書館に似た部屋の丁度目の前に、3つのカプセルの土台部分
のみが入れられたガラスの箱が展示されていた。
 この3つのカプセルの土台部分は上海の樟運佑涼浪叱Φ羹蠕廚波見されたものである。
 それからビリーはガラスの箱の前まで歩き、
立ち止まるとすぐにズボンのポケットから手の平サイズの黒い手帳を取り出し開いた。
 黒い手帳には赤いボールペンで「カプセルのガラス部分は
何かの原因で粉々に割れた為、全て取り払われ、
幾つかのガラスの破片はCCI関係の別の研究所に保管されている」
さらにページをめくると今度は黒いボールペンで
「DSE―RTYORE―XX200」
「DSE―GIHODAR―XX200」
「DSE―BGAN―XX200」
そのそれぞれの文字は実は3つのカプセルの土台に刻まれた文字だった。
ビリーは白紙にボールペンでその文字を並び替え、
「DES―TROYER-200XX」
「DES―GHIDORAー200XX」
「DES―BAGAN―200XX」
と書き直した。
それからビリーは改めて読み直した。
「DES―TROYER-200XX」
「DES―GHIDORAー200XX」
「DES―BAGAN―200XX」
ビリーは片手で頭を抱え、次のページをめくり、
その次のメモを何度も読み返し、しばらく考え込んでいた。

 品川の公園で発見された男の焼死体の現場検証を行っていた
凛の携帯の着メロが鳴ったので凛が
「もしもし?」
と電話に出ると、警視庁からだった。
 凛が携帯で警視庁と関係者を話している間、蓮は公園の現場
の周りに置かれたブランコの椅子や、丁寧に並べられた様々な種類の花をまじまじと見つめた。
 凛は携帯を切ると、コスモスの花をまじまじと見ていた蓮に、
警視庁から先程、現場から運ばれた男の焼死体の司法解剖の結果が出たというので、
結果を確認する為、蓮にこの現場を任せたいと伝えた。
蓮は心配のあまり
「大丈夫か?」
しかし凛は笑いながら
「大丈夫よ!あとはよろしく!」
と答えると自分の車のドアを開け、警視庁へ向かって行った。
凛は警視庁に向かう途中にふと思い出した表情で
「あっ!!コノハに餌の豆をあげるのを忘れた!」
と言うなり、急いで自宅に帰るとビニール袋を取り出し、
玄関に置かれた大きな鳥籠中にいる24cm位の
大きさのアフリカオオコノハズクに、餌の昆虫を何匹かあげた。
それから再び赤い車に乗り、慌ただしく警視庁へ向かって車を走らせた。

(第28章に続く)

では♪♪