(第15章)山岸の夢

(第15章)山岸の夢

山岸は学校の保健室で、凛が誘拐された後、玄関で拾って
首にかけていた小さな鏡のペンダントを強く握りながら
ベッドで眠っていた。その小さな鏡のペンダントが黄金色に発光した。
山岸は夢を見た。
黒い覆面を被った男達が凛を拉致する光景が一瞬だけ映し出さ
れた。目隠しされ手足を縛られた凛が狭いどこかの研究所に監禁されていた。
中国語とおぼしき声が聞こえた。
光景が変わった。そこは真っ暗闇で何も見えなかった。
その暗闇の真ん中に凛と思わしき少女が立っていた。
山岸はその少女の顔を見て
「凛ちゃん!!」
と大声を上げた。
少女の隣にゴジラとジュニアが立っていた。
黄金色の光が見えた。山岸は眩しくて手をおおった。
指の間から見ると、その黄金の光の中にもう一人の凛が立って
いた。それは黄金の竜に変わり、凛はあわてて走り出した。
山岸が
「これって?あの夢?」
とつぶやくように言った。

山岸の夢は続いていた。
凛らしき人物があわてて走ってくるのが見えた。
そこにもう一人の凛と黄金の竜が追いかけて来た。
やがて凛に追いつくと長い爪で凛の足を突き刺し、黄金の竜は容赦せず、凛を持ち上げて投げ捨てた。
山岸は
「凛ちゃん!!」
と大声で叫び、医務室のベッドの布団を跳ね飛ばし、飛び起きた。
その様子を見た同級生の友紀が心配した様に
「どうしたの!!」
とあわてて言った。
そこに担任の先生が慌てふためいた様子で入って来た。
「どうした!!何があった!!」
と過剰に心配した。
山岸は荒い息を吐きながら
「いや……ちょっと気が動転して……」と言った。
担任の先生は
「恐らく……テストで疲れているんだろう……」
山岸は無理な作り笑いをして
「多分……そうかも知れない……」と言った。
担任の先生は友紀の方を見ると
「さて!!何でここにいるんだ!さっさと戻れ!」
と突然、友紀に向って怒鳴り散らした。
友紀は
「はいはい……」
と呆れたように言うと保健室から出て行った。そして友紀は友
達の洋子に出会った。
洋子は
「そろそろ友紀ちゃん!!始まるわよ!!数学のテストの答案
今日配られるでしょ!!」
と言った。
友紀は嫌そうに
「あーあまたあのうるさいエリートの話を長々話されるのは嫌だな……」
と言いながら教室に入って行った。

(第16章に続く)