(第44章)やらなきゃいけない事!

(第44章)やらなきゃいけない事!

中国の遺跡で尾崎は無事に凛と友紀を崩れた瓦礫の山から救出すると、
無線取り出し、地上の救助艇に連絡を取ろうとしたが、電波障害で全く応答が無かった。
そんな中、凛は近くの崩れた超合金のチタン製の壁の中に金箔に塗られた
蛇の鱗の様なものがあるのを見つけた。
凛が恐る恐る触れ、その壁が黄金に一瞬だけ輝いたかと思うと突然部屋が激しく揺れ出した。
友紀は
「何??地震??」
尾崎は
「マズイ!ここにいたらまた天井が崩れるぞ!
急いでここを離れるんだ!」
と友紀を抱え上げ、走りだした。
米軍やアメリカのミュータント部隊はそこを逃げ出そうと
あわてて自分の服やレーザー銃を頭に乗せながら、尾崎に続いて走り出した。
凛も全員が走り出したのであわてて後を付いて行った。
その時、ゴードン大佐が凛の手をしっかりと掴み走り出した。
やがてどこかの下水口らしき所へ出ると、そこには大勢の死体があった。

凛が調査チームの前に進み出て
「大変……ここはさっきあたし達がアメーバに追われて通った所よ!」
と言った途端、周りの壁から暁色のアメーバ達が現れ一斉に調
査チームの前にいた凛に襲いかかって来た。
ゴードン大佐は凛の目の前に飛び出し、身を挺して守ろうした。
しかし凛の脳裏にまた黒い竜が現れ、男性の声で
「全てを抹消してくれ……これ以上私の様な悲劇を起こしてはならない!」と聞こえた。
凛は脳裏で「貴方は誰?黒い竜の正体は何なの?」
と質問した。すると男性の声は「オジ……ケーニッヒ……バガン……」
と謎の言葉を残し、声は止み、黒い竜も消えた。

凛はその言葉の意味を悟り
「オジ?ケーニッヒ?バガン?もそれじゃ?この黒い竜はパパのパパ?
夢の中でもう一人のあたしが言っていた『まだやらなきゃいけない事がある』って?』
とつぶやいた。
やがて凛は首にぶら下げていたインファント島のお守りである小さい鏡が
発光し、鏡から反射された細い光が暁のアメーバの群れの方を指しているのに気づいた。
しばらくして凛は決心した表情に変わり、ゴードン大佐の制止を振り切り、
迷わず逆にその暁のアメーバの群れに突っ込んで行った。
友紀は
「リーンちゃん!!」
尾崎は
「駄目だ!!やめろるんだぁぁっ!!戻って来い!!」
と大声を張り上げた。しかし凛の姿はアメーバに包まれ、見え
なくなった。
しかしアメーバ達は突然、苦しみ悶える様に痙攣を始めた。
暁色のアメーバは膨張し、断末魔の声と共に蒸発した。
そしてそこから強くも優しい黄金の光が部屋全体を包み込んだ。
男性FBI捜査官は
「温かい……これは一体??」
女性FBI捜査官は
「分からないけど……人の温もりに似ているわ」
一方地上の遺跡の近くに停泊している救助艇ではジェレルが
「地下に謎のエネルギーを確認!!」
アヤノは
「この声は??」
ニックが
「なんだろう?やさしい子守唄の様な……」
するとさっきまでいた密輸船の男は
「なんだ……このメロディは??」
と混乱した様に言った。密輸船の船長は
「おい!聞いてくれ!たった今無線が回復したぞ!」
密輸船の女は
「なんですって??」
さらにグレンが
「おい!外の遺跡を見て見ろよ!」
と乗組員全員に呼びかけると自分もあわてて外へ出た。
最初に外へ出た密輸船の女は
「……見てよあれ!!」
と言いながら狼の形をした遺跡を指さした。
赤茶色だった遺跡の壁が蒸発したかのように消え、
そこから黄金に輝く壁が現れ始めていた。
美雪も救助艇のハッチから出て来ると黄金色に輝く遺跡を見て
「凛……」
と静かに娘の名前をつぶやいた。
また救助艇の中でX星人の高新一を尋問していた凛の護衛も、
巨大なモニターを通してその黄金に輝き始めた狼の形をした遺跡の様子に眺めていた。

東京のシンボルである東京タワーはまだ建造途中だった。
そこはかつてゴジラやミニラ、ケーニッヒギドラ、モスラが死闘を繰り広げた場所であった。
山岸と洋子は学校の帰りに、ふと高層ビルの隣に見える大きな火山を眺めた。
そこはCCIのミサイル基地があった所で、現在も火山の噴火の跡が残っていた。
山岸はカバンを抱え直しながら
「こんな所で噴火があったなんて信じられないな??」
とつぶやいた。そして地下鉄の階段を降りながら洋子が
「そうね……何であんなのが出来たんだか……不思議ね!!」
とつぶやいた。そして少し笑いながら
「今日は猛暑だから早く地下鉄の電車で涼みたいわ……蝉の声も去年よりウルサくてたまらないし……
だから山岸くんと…もし凛ちゃんと友紀ちゃんが帰って来たら……
不良退治ばっかりしてないで!
近くにこわ~い噂が立っている廃ビルがあって、
心霊写真や本当に幽霊の目撃された所があるから肝試しに行こうよ!」
山岸は
「行きたいけど……うーん怖いのは嫌だな~」
と苦笑いした。すると洋子はさらに笑いながら
「凛ちゃんと友紀ちゃんも帰ってきたら連れてくればいいじゃん!」
山岸は
「でもいつ帰ってくるか……」
洋子は
「大丈夫よ!女は強し!だから!」
山岸は
「何それ?」
と笑った。洋子はあわてて
「だから!2人は絶対に帰ってくるわよ!」
と苦しい言い訳をした。山岸は恐る恐る
「そうか……そこってどんな怖い話なの?」
と聞いた。
洋子は
「怖いもの見たさね!それはね、ここでね……」
と地下鉄に乗りながらその廃ビルにまつわる怖い話を始めた。

(第45章に続く)

今日は札幌の入院の準備でバタバタしていますので(汗)
変更はとりあえずここまでです。

ではまた一週間後(予定)にお会いしましょう♪♪