(第19章)東京封鎖

(第19章)東京封鎖

 

地球防衛軍の別室では凛の護衛のパソコンにCCIから内密メールが届いた。
メールの内容は
デストロイアは東京の品川を中心に現在も増え続け、さらに感染者の数も日に
日に増加している。アメリカと政府はデストロイアを封じ込める為に東京の街の
全ての空港や港の船を運休させ、東京の周りに巨大なバリケードを設置し、
全ての東京都民を隔離する事にした。」
と書かれていた。
凛の護衛は
「そうか……彼女はどうなるんだ?」
とパソコンの画面を見ながらつぶやいた。

 

デストロイアとの攻防戦が続いていた。千代田区の丸の内に作られたバリケード
近くの下水道に、脱皮したと思われるデストロイアの殻の残骸が多数見つかった。
尾崎は
「一体どうなってるんだ??」
ジェレルは
「脱皮した様です」
と赤いデストロイアの殻にレーザー銃を突き刺し持ち上げながら言った。
無線が聞こえた。
「こちら!自衛隊!直ちに丸の内バリケード内に来てくれ!
大変な数だ!我々では手に負えない!」
尾崎は
「了解した!」
と言うとすぐに下水道から現場に向かった。
現場では、100以上の高さがある冷凍メ―サーの流れ出る壁を突破しようと、
あるデストロイアは戦闘機のような姿になり、ミクロキシゲンや身体の一部をミ
サイルに変えて攻撃したり、また近くの公園にいる別のデストロイアは重戦車の
ような姿になり、バリケードに向かって一斉にミクロキシゲンで攻撃して来た。
M機関のミュータント兵や自衛隊、CCIの戦闘機や戦車は冷凍攻撃を駆使した
が、デストロイアの群れはあまりダメージを食らっていない様子だった。
5時間の戦いの末にようやくデストロイアの数が減り始めた。
しかし他のデストロイアの個体はその間に一斉に集まり始めていた。
尾崎はマスクごしに「気を付けろ!巨大化するかも知れない!」
デストロイアは6mほどに巨大化した。
ニックが
「おい!変だぞ!」と大声で言ったと同時に尾崎が
「危ない!逃げろおおおっ!」
と大声で全員に伝えた。
地球防衛軍本部では波川指令がアメリ地球防衛軍の関係者と電話をしていた。
「私は!断固反対です!」
と大声で怒鳴った。
アメリ地球防衛軍の関係者は
「やむを負えません……これ以上の被害を食い止める為『封鎖した東京』からデス
トロイアに感染していない住民だけの避難を真鶴に、早朝までに完了させて下さい!
そして感染している住民は東京の街に1人残らず隔離するように!早朝……
我々アメリ地球防衛軍は東京の街を最新の冷凍メ―サー爆弾により、絨毯爆撃
をし、デストロイアを一掃させる!」
波川司令はとうとう怒って
「何度!言ったら分かるんですか??あなた達はまた1945年の東京大空襲
過ちを犯すつもりですか?」
と大声で怒鳴りつけた。
関係者は
「それは過去の話だ!しかも今回は人間じゃない!デストロイアだ!今更!過去
の話しを蒸し返されても困ります!」
と言うと電話を切った。波川司令は
「冗談じゃないわ……」
とつぶやくと頭を抱えて座り込んだ。

 

母親の山根ゆかりに憧れ、JBSのTVレポーターになった
山根優香は封鎖された東京の公園でデストロイア
関する最新情報をレポートしていた。
「先程東京の丸の内駅周辺のバリケードが突破された模様です!」
その時、近くの茂みが「ガサガサ」と音を立てた。
優香はその方を見たが、無視をしてレポートを続けようとした。
突然茂みから緑色の尾が飛び出し優香の両脚に巻き付いた。
コンクリートに頭を強くぶつけて優香は気を失った。
優香の身体は物凄い勢いで茂みの中に引きずり込まれてしまった。
周りにいた報道陣はあまり一瞬の出来事でしばらく呆然と茂みを見ていたが、
ようやく事態を飲み込むなり、今度はパニックに陥ってしまった。
謎の緑色の尾に、山根優香は失神したまま下水道の入り口に引きずり込まれていった。
長い間、下水道の中を引きずられ、やがて再びマンホールから地上へ出た。
優香はある壊れかけた建物の中へ引きずられていった。

 

(第20章に続く)