(第23章)美雪の悪夢

(第23章)美雪の悪夢

地球防衛軍の仮設研究所で美雪は未知の塩基の研究に没頭していたが、
やがて仮眠を取ろうとソファーの上に座り茶色の毛布をかぶり横になって眠り込んだ。
美雪は夢を見た。
しばらく真っ暗やみの中にいたが、
眩しい光が射したかと思うと突然銃声が聞こえ、腹部に強い衝撃が走った。
美雪は自分の腹部を見た時、驚きのあまり両手で押さえた。
腹部からは血が出ていた。
意識を失ったかの様に目の前が真っ暗になった。
しばらくすると廃墟となった東京の上に立っていた。
美雪は
「何よこれ?」
と周りを見るとゴジラとミニラとモスラと黄金の竜がいた。
さらに彼女の隣には小美人の2人がいた。
やがて目の前に3つの首を持ち、赤い翼と3つの首を持つ怪獣が現れた。
怪獣は口から火の球を吐き出した。
それと同時に黄金の竜が走り出した。
美雪は悲鳴を上げ両手で顔を押えようとした時、激しい爆風が襲いかかり、
目の前が真っ暗になった。
やがて電子音の「ピー」と言う音が長々と聞こえた。
さらに「美雪!美雪!」と言う悲鳴に近い姉の杏奈らしき声が聞こえた。
そこで美雪は毛布を跳ねのけ起きあがった。
息を弾ませながら
「何よ……今の何?」
と混乱した様に言った。
一方地球防衛軍の会議室で尾崎は席から立ち上がり、
「この映像は深夜1時に数秒だけ撮られたものです。」
と言って映像を再生させようとした時、
うたた寝をしていた覇王が小さい声で
「やめろおおお!!」
と言うと突然起き上がり息を弾ませながら……
「なんだ??3つ首の竜?美雪がどうして?廃墟の東京の街は何だ?」
と混乱した様に言っていた。
尾崎は心配そうに
「お前本当に大丈夫か?」
すると覇王は尾崎の顔を見て冷静を装って
「大丈夫……ただの夢だ……大丈夫……続けてくれ!」
と答えた。
尾崎は覇王の声を聞くと映像の再生ボタンを押し、会議の続きを始めた。

尾崎が自衛隊の特殊生物研究所内に設置された監視カメラの映像を再生した。
その監視カメラの映像には3人の男が厳しいセキュリティをかいくぐり侵入する
様子が撮影されていた。しかしその監視カメラの映像はすぐに砂嵐になった。
カメラが破壊された様だった。
尾崎はその映像を巻き戻して、スローモーションにした。
そして3人の男が侵入した場面で一時停止した。
尾崎は
「この3人の男の後ろにもう一人の男が写っています。この三人はバイオメジャ
ーと名乗る男達で、その後ろにいる男はサラジア共和国のエージェントと断定しました。
そしてこの映像が……」
と言うとリモコンで別の映像に変えた。
別の映像では地球防衛軍に侵入しようと試みたと思われるバイオメジャー達が、
監視カメラの前でジェレルとアヤノにこてんぱにやられていた。
また別の監視カメラでは、地球防衛軍の隊員を誘拐しようとしてミュータント達に取り押さえられ、
たちまち御用となる映像が続けて映し出された。
尾崎は
「この映像の通り侵入や誘拐を試みたバイオメジャーの数は数百人にものぼっています。」
覇王は
地球防衛軍とインターポールが協力をして、『バイオメジャー、サラジア共和
国テロ対策本部』を設置し、潜伏していたバイオメジャーのアジトの摘発も行いました。」
さらに尾崎が映像を再生させると、それはヘリで撮影されたもので、工場跡地で
バイオメジャー達とインターポールと地球防衛軍が銃撃戦を始めていた。工場の
裏にアヤノ、あやか、翔太や覇王が、工場の表にはインターポールが援護に回った。
ミュータント達は銃弾やレーザー銃を巧みにかわし、次々とバイオメジャーを倒していった。
そして2時間足らずで全員逮捕される様子が最後に映し出された。
覇王は
「このようにバイオメジャー達は全員逮捕することができました。しかし残念な
がら背後からバイオメジャーの一人の額に銃弾を浴びせたサラジアのエージェン
トは盗難車で逃げたので、私がインターポールの車をお借りして追いかけましたが、
結局、敵の銃弾で私は大怪我をしてエージェントに逃げられていまいました。」
するとCCIの局長の野中は
「一体?自衛隊地球防衛軍は何やっているんだ!」
と怒鳴った。
尾崎は
「そのサラジア共和国のエージェントの本名や身元も現在調査中です。」
と言った時、野中が凄い眼で睨みつけたので尾崎は思わず黙り込んだ。

尾崎や覇王達が会議で忙しい中、仮設研究所で美雪と神宮寺博士は真鶴の戦いで
採取されたケーニッヒギドラのDNAを調べたが、地球上の生物と構成が異なっ
ており未解読で全く分からなかった。
ちなみにCCIの衛星探査機が月の表面のクレーターから青色のゲル状の物質が
採取された。その物質の成分からケーニッヒギドラのDNAが検出されているが、
このDNAはみな少しずつ異なっていた。
美雪は
「これは一体どういう事なの?」
と考え込んでしまった。ふと他に外国に現れた怪獣のデータを検索していると、
気になる新聞記事の情報を見つけた。
新聞記事は数年前に報道されたもので「NYの街中で謎のストーカー殺人事件が
頻発!?」と大きく書かれ、「犯人は人に擬態する人工の巨大昆虫か?!。
人工昆虫が昆虫学者に交際を求める??」と書かれていた。
美雪は顔をしかめ
「何これ?気持ち悪いわね~」
とつぶやいた。
美雪は自分のファイルになんとなく、その新聞記事のデータを保存した。
美雪は残業でしかも暑くて疲れたので、椅子から立ち上がると、
さっき見た酷い夢を忘れようと、
冷たいアイスコーヒーを作りにキッチンへ向かい、テレビを付けて、2時のニュースを見た。

(第24章に続く)

なんだかまだ変更できそうなのでして置きます♪♪