(第38章)業火の反撃!

(第38章)業火の反撃!

東京上空を飛行している轟天号で、
ジェレルが通信とは違う別のモニターを見て叫んだ。
「東京の映像!映像!回復!水蒸気が晴れました!」
ゴードン大佐は
ゴジラは??生きているのか??」
その瞬間、「ドーン」と大きな音が聞こえた。
全員驚いて振り向くと、ドッグ出入口のスペースチタニウム製の扉が激しく揺れていた。
ゴードン大佐は
「奴らめ!ついにここにたどり着いたのか?」
尾崎は
「全員早く扉から離れろ!」
と言って椅子から立ち上がり、全員が一カ所に固まった。その
間にも扉は「ドーン!ゴンゴン!」と音を立てて、激しく揺れ、一部がへこみ始めていた。
ゴードン大佐は
「何か塞ぐものは無いか?」
と大声で言った。ジェレルとアヤノはそれぞれの席の椅子を持ち、
杏子やカンナは近くにある物を手当たりしだいかき集めバリケードを作ろうとした。
しかし扉は激しく揺れ動きたちまち物もミュータント兵達をも跳ね飛ばした。
ジェレルは「駄目です!力が強すぎます!」
尾崎は「クソ!」と扉の前に立った。そして黄金のオーラを放
ち念動力で扉を強く押さえ付けた。杏子は
「収まったわ……」
ゴードン大佐は
「しかし……このままじゃ!ヤバいな……」
と深刻な顔で言った。
健吉のいる地球防衛軍本部内のオペレーション室では東京の映像が回復していた。
健吉は
「凛さん……3体のゴジラ……生きていてくれ!頼む!」
と祈りながら何度もつぶやいた。モニター画面には8枚の翼の
映像が見えた。その8枚の翼は紫色に輝いていた。
健吉は
「これは……」
とつぶやいた。
ジュニアが紫色の翼を広げてゴジラとミニラをかばい、
ミクロオキシゲンを無能力化させていのである。
デストロイアは驚いて腹を立て、ジュニアに体当たりして来た。
ジュニアは背びれから生えた紫色の翼を槍状に変えて
デストロイアの両肩の触手を貫いた。
続いて残る6枚の翼でデストロイアの身体を貫き、
それは体内にある緑色の本体をかすった。

地球防衛軍の特殊生物病院ではその時、
2つのGメ―サー治療室の大勢の患者達に異変が起こった。
Gメ―サー治療室に隔離されていた友紀は突然、激しい痙攣を
起こし、大きく咳をした。
口から赤い破片が飛び出した。
それをきっかけに大勢の患者が同じ様な症状を起こした。
その場にいた医師達は困惑して、
赤い破片の様なものを瓶に入れて、すぐに美雪や神宮寺博士のいる研究所のラボに送った。
その破片を吐き出した患者達は少し症状が安定していた。
美雪と神宮寺博士がその破片を調べた結果、微小デストロイアの死骸だと判明した。
しかし死因は謎に包まれていた。
美雪は
「凛とジュニアが本体に攻撃を加えたから……」
とつぶやいた。
神宮寺博士はすぐにその死骸を解析し、死因を調べ始めていた。
「ひょっとしたら大勢の患者の命が助かるかも知れない…」
と言う幽かな希望を胸に持って……。
ジュニアの背びれから生えた8本の紫色の槍に全身を貫かれた
デストロイアは痛みにもがき暴れ回った。そしてミクロオキシ
ゲンを放とうとした瞬間、その顔面にジュニアは放射熱線を放った。
しかしジュニアの口から放たれたのは紫色の放射熱線だった。
デストロイアは身体中を業火に焼かれ、倒れ込んだ。
ジェレルが
「まさか?ケーニッヒギドラに類似した反重力エネルギーを確認!」
更にアヤノが
「ジュニアから、赤い放射熱線と青い放射熱線の発射時に確認
されたエネルギーも同時に確認しました!まさか?」
と言った。熊坂は
「機戒は正常なのか?別の怪獣のデータと混同していないか?」
アヤノは
「はい!機戒は正常です!混同は確認されていません!」
と返した。
特殊生物病院のGメ―サー治療室前隔離廊下では、
日本人とヨーロッパ人の医師のカートが、
容体が安定しつつある友紀と山岸をそれぞれ診察していた。
隣を通りかかったアフリカ人の医師に向かって日本人の医師は
「とりあえず容体は今のところ落ち着いている!
他の患者もそうだ!何故かは良く分からんが……
ただ油断はしない方がいい!
いつ容体が急変するか分からないからな!
とりあえず続けてルプラック、アルダクトンA、パナルジン、
アーチストの投与は続けた方がいい……
痰や鼻詰まりは前よりは少しは楽になっているから呼吸が安定している!
あと睡眠薬も少し投与した方がいい……身体を休めて体力を温存して置かないと……
それでベンザリンネルボンを少し投与して、後の点滴は出来るだけ
多くの水分とビタミン剤で栄養補給だ!」
と指示を出した。
すると小児科担当の日本人の医師は
「子供達も容体は安定していて口から栄養補給が出来る子供が僅かにいる様です!」
と言った。

(第39章に続く)