(第49章)ジュニアのおめでた報告

(第49章)ジュニアのおめでた報告

やがて一人が
「ここは凄い所だな!」
するともう一人が
「おい!静谷!あそこにエアガンの一式セットがあるぞ!」
静谷も
「本当か?何でこんな所に?」
さらに別の一人は
「手を伸ばせば取れるぞ!ほら!山田!」
その様子を見ていた友紀は
「どうしたのあの人達?」
山岸は
「さあ……寸劇かな?」
とその様子をただ茫然と見ていた。
すると山田と呼ばれた男子は
「このかっこいい武器庫の中にどうだ!最新式の凄い奴だぜ!」
と言ってその最新式のエアガンを手に取ろうと身体を前屈みにした。
凛が大声で
「迷妄は悪魔の仕業と覚えておきなさい!」
と言った。
その瞬間、不良達は玉突き事故にでもあったかの如く、
静谷は電柱にぶつかり尻もちを付き、
最新式のエアガンを手に取ろうと前屈みになった山田は
子供が遊ぶ為の浅いプールに水しぶきを立てながら落下した。
さらに他の不良達もベンチに足を引っ掛けて転ぶ者や噴水に落下する者、
木にぶつかる者、ベンチに弁慶の泣き所をぶつける者、
どれも様々だった。他のメンバーは何が起こったのか分からずただ茫然としていた。
リーダーは凛の薄茶色の瞳が恐ろしくなってきた。
横に立っているいかにも弱そうな山岸も、
もしかすると拳法の達人かもしれないとリーダーには思えてきた。
友紀のことは、雰囲気が変わっていて気がつかなかったが、
ヤクザの娘で有名な高校の女番長ではなかったか?
リーダーはかしこまって言った。
「すいません、気をつけます。おい、お前ら、行くぞ!!」
それ以来、その公園から不良軍団は姿を消した。
近所の子供達は安心してその公園で遊ぶようになった。
山岸も友紀も何が起こったのかは分からなかった。2人が凛に
尋ねても、彼女は
「それはね?フフフ」
と笑うだけで何も答えなかった。

凛は久しぶりの夏休みに山岸の家へ遊びに行った。
友紀も誘おうとしたが、『夏休みに実家に帰るので行けない』
ということで、残念ながら一緒に行く事は出来無かった。
凛はまた山岸の部屋で二人っきりになった。
凛が
「やっと仲直り出来たわね……」
山岸は
「よかったよ!本当に!一時はどうなるかと思ったけど……」
凛は山岸の瞳をじっと見つめていた。
山岸は
「凛ちゃん……」
と心配そうに言った。
しかし凛は少し笑いながら
「もう大丈夫だから!いつもの凛よ!」
と言った。山岸も安心した様子で笑いながら
「そう……よかった!」
山岸は
「ねえ……ゴジラが『オス』でラドンが『メス』って言う説が
最近バラエティ番組で放送されていたけど……本当かな?」
凛は
「さあ……でも!中国の化石からゴジララドンに共通する遺
伝子が見つかったって何かの雑誌で読んだ事があるわ!何だったのか忘れたけど……」
山岸は
ゴジラが恐竜みたいな姿が『オス』で翼竜みたいな姿をした
のが『メス』って変わった見分け方だね!」
凛は
「まあ……当たり前の事だけど……生物の『オス』と『メス』
の見分け方は、一見簡単そうに見えるけど実際は物凄く難しくて、
見分け方がなかなか分からない生物が多いわ!
ゴジララドンとかの爬虫類だったらプロでも見分けるのは難しいわよね!」
山岸は
「そうだね……うちケズメリクガメを飼っているけど、本当に
オスとメスの区別が難しくて、図鑑とか調べて飼い始めて1年後に
『メス』だと分かったけど……性別を見分けるのは本当に難しいよ!」
と少し笑いながら言った。
凛は
ラドンゴジラも同じ爬虫類の仲間なら別に夫婦関係でも不自然じゃないと思うけど……」
山岸は
「それで思い出したんだけど!ジュニアとX星人に
操られたラドンに子供が生まれたってニュースがあったな!」
と言うと古新聞をあさり始め、目当ての記事を見つけた。
『ジュニアとラドンの子供が生まれる!』と大見出しで書かれ、
記事には「生まれた子供は兄弟で、一つがラドンのメス、続いて生まれ
たのがオスのゴジラだと小笠原怪獣ランドの職員がメディアに発表した。」
と大きく書かれていた。

(第50章に続く)