(第52章)生と死とは?

(第52章)生と死とは?

廃墟の東京でデスギドラが火砕流撃弾を吐こうとした時、
その意図をすぐに察知したゴジラはミ二ラの前に立ち、
ケーニッヒは美雪の意識の前に立ち、2体は火砕流撃弾の攻撃を受けた。
ゴジラとケーニッヒは倒れた。
ゴジラは必至に暴れようとするが身体がもはや言う事を聞かなくなっていた。
デスギドラは
「これで貴様らも終わりだ!ケーニッヒ!
貴様は弱小の人間の心を理解しようと愚かな事を続けているが結局は犬死だな!
ゴジラ!貴様も自分の強さを過信した結果がこの有様か?
お前も弱小の人間の意識も小さなゴミクズの様なものだな……」
と言うと倒れているミ二ラを、踏みつけ、蹴飛ばした。

その様子をテレビで見ていた真鶴の避難所の子供達は
「ミニラ!死なないで!」
と大声で言った。

デスギドラは静かに
「人間は『科学』と言う道具で『生命』を解明しようとする!
しかし目に見える物しか認識しようとしない奴らには
『生と死』の力を完全に理解する事が出来ないのだ!」
瓦礫の上に倒れていたケーニッヒはふと沙羅と言う人間の子供が言った言葉を思い出した。
「『生命』はたった一つしかない……失うと二度と帰ってこない……」
デスギドラは高笑いしながらケーニッヒの顔を蹴りつけた。
「ハハハッ!そうかな?それは人間が考えた解釈に過ぎぬ!
『生命』とはごくありふれた存在でありながら全く知られてい
ないのだ!『生命』そのものが見えない力だ!『死』も同様だ!」
と言った。
瓦礫の隙間で震えていた美雪の意識はその会話を聞いていたがやはりまだ混乱していて、
深く考えることはできなかった。
また暗闇に包まれていた。
美雪の意識はますます不安と絶望で胸が張り裂けそうになった。

また周囲の様子が変わった。
病室らしく、椅子には女性が一人座っていた。
その顔を見た時、思わず
「お姉ちゃん!」
と美雪は言った。しかし彼女には聞こえないらしくただ無表情
で座っていた。そこに男女のFBI捜査官が入って来た。その
時、ベッドで眠っていた美雪の身体が突然、撥ね戸の様に起き上がった。
杏奈は
「美雪!眼が覚めたのね!」
と嬉しそうに言った。
しかし美雪の意識は病室の片隅にいた。
つまり美雪の意識とは『別の意識』が彼女の体を動かしたのだ。
その別の意識が彼女の口を借りてしゃべり出した。
「同胞達を殺して来た2つの稲妻がぶつかる時、死を拒絶し、死を封印する!」
再び美雪の身体はベッドに倒れた。
美雪の意識もまた暗闇に包まれ、気が付くとまた廃墟の東京の
ビルの瓦礫の隙間で震えていた。 別人の様な声で何か予言めいたものを言って
再び意識を失うと言う出来事に、男女のFBI捜査官や杏奈は唖然として倒れた美雪を見ていた。
杏奈はまくれた美雪の布団を丁寧にまた掛けてやった。

その時、
「音無美雪さんですね!」
と声がした。
そこには神宮寺博士と金田トオルが立っていた。
トオル
「この女性は、先ほど国連と話し合い、地下の研究所がある病室に移されることになりました!」
すると男性FBI捜査官は憤然とした態度で
「そんな事は聞いていないぞ!」
と大声を上げた。しかしトオル
「これは!決定事項ですよ!」
とキッパリ言うと数人の医師のスタッフと共に美雪を担架に移し、運び出そうとした。
その時、杏奈が
「待って下さい!どうしてうちの妹が!」
と言った。
トオル
「あなたにも来てもらいます!FBI捜査官のお二人もです!」
と言うと4人は地下の研究所がある病棟に移動した。
そしてその病棟に着くと美雪は個室に入れられ、面会謝絶となった。
その乱暴な方法が気に入らない男性FBI捜査官は研究所ラボ
に怒鳴りこんだ。しかし金田はおろか他の医療スタッフさえ、
彼の怒涛の抗議をはぐらかし、無視を決め込んでいた。
幾つもの点滴の棒に、あのサラジア共和国のエージェントが使ってい
た青いゲル状の液体が入った袋がぶら下がっていた。
しかし在庫が足りない為、トオルや医師達は必至に在庫を探したが見つからず、事態は深刻だった。

(第53章に続く)