(第12章)ある伝説の真相(その1)

(第12章)ある伝説の真相(その1)

凛が父親の真相を知った翌朝。
地球防衛軍本部のオペレーター室では
「真鶴のゴジラとミニラが一直線に東京へ向かっています。」
とジェレルが言った。
尾崎は「そう言えば例のデストロイアの件は?」
ゴードン大佐は言った。
「これから!!集まる所だ!!」
会議室には国連やCCIが集まっていた。
分子生物学者の音無美雪は言った。
「このデストロイアは、1996年に初めて姿を現した
幼体の突然変異体である事が分かりました。」
巨大スクリーンに「デストロイアの幼体」の画像が映し出された。
さらに美雪は
「どうやら火炎放射で突然変異したものが地中に
生き残った個体だと思われます。まだ未熟ですが……様々な攻撃により
さらに突然変異する可能性があります。」
と説明した。
尾崎は
「かなり手ごわい相手だな……」
とつぶやいた。
ゴードン大佐は「まさに『ハイパーデストロイア』だな……」
杏子は
「唯一の弱点の冷凍兵器も、一度受けて聞かなくなったら……
どうしたらいいの??」
と心配そうに言った。
その頃、凛は自分の部屋でパソコンを
睨みつけながら熱心にインターネットで何かを調べていた。
それは中国の「四神」や「馬銜」だった。
あの後、母親の美雪からゴジラバガンの正体と、実の父親である覇王圭介
の正体について凛はさらに詳しく聞かされた。
それから凛は実の父親の覇王圭介を初め、バガンゴジラの事をもっと理解
しようと今パソコンで調べている訳である。
美雪が教えてくれた事によると「バガンという怪獣はインファント島の
壁画にあり、中国では闇の森の神」だという事だった。
竹原古墳の壁画にも描かれている様だった。
竹原古墳とは福岡県宮若市にある6世紀後半に作られた古墳である。
他に凛は「文選」や「述異記」「山海経」を何度も読み返したが、良く分からなかった。
ただ分かった事は「述異記」と言う古書に、「『蝮』が五百年生きると
『のづち』になり、千年生きると『応龍』になり、五百年生きると『龍』
になる。年老いた『応龍』は『黄龍』と呼ばれる」と中国語で書かれていた事である。
さらにネットで馬銜についてのサイトを探すと「応竜は馬銜では無いか?」
と言う説があるらしいが、しかしやはり良く分から無かった。

東京地区でサイレンや救急車の音が響き渡っていた。
品川のビルの中にデストロイア出現!!と通報を受けてM機関
のミュータント部隊は現場へ向かった。
 一方凛は自分の部屋でパソコンを睨みつけながら熱心にイン
ターネットで中国の「四神」や「馬銜」や「中国神話・伝説大
辞典」を何度も読み返していた。
そうしてパソコンの電源を付けたまま机に眠りこけてしまった。
歌声が聞こえた。それはモスラの歌のコーラスだった。
ふと起きてみると、いつの間にか周りの景色が変わって、
冷たい岩の上に身体を乗せていた。凛は身体を起こし周りをぼんやりとながめた。
そこはどこかの洞窟らしく、ひんやりしていたものの、身体が
震える程寒くは無かった。突然
「凛!!あなたもここに!!」
と声が聞こえた。
見ると母親の美雪が走って来た。どうやら同じ様にここへ来た
らしい。
美雪はもう二人と一緒だった。
二人の顔を見た凛は思わず見ず知らずの名前をつぶやいていた。
「新吉さん……そっくりな気がする」
その二人はとても驚き、一人の女性が
「どうして新吉さんの名前を知っているの?」
と尋ねた。美雪は何が何だか訳が分からなかった。
すると小美人が岩陰から現れて
「私達2人が説明しましょう……」
と言った。
インファント島の洞窟の中で女性が
「一体?何がどうなっているの?」
と混乱した様に言った。
小美人が答えた
「闇の森の神バガンと馬銜は全くの別種です。
宇宙怪獣のバガンは貴方達、人類誕生以前の太古の昔に地球に降り立ちました。
人類誕生後もバガン達は長い間、中国の海底に住み続けました。
そして中国の海底で青龍のゴジラ、赤龍のラドンを産み出しました。

人類誕生後の長い年月の後に宇宙怪獣バガンの姿を見た中国人
や海賊達はバガンを応龍または馬銜と呼んで崇め始めました。
青龍のゴジラ達は中国から日本の大戸島の海底に住みつき、その姿を見た
大戸島の人々は呉爾羅と呼びました。
それは恐ろしく巨大で、海の魚を食べ尽くすと陸へ上がって来て
人間まで食べてしまったと言う伝説が生まれ、
人々は不漁が続く時は生贄に若い女性を海に流していたと言われています。」
凛が
「じゃ?闇の森の神のバガンは?」
と尋ねた。

(第13章に続く)