(第44章)人間の妄想が一番怖い!

(第44章)人間の妄想が一番怖い!

凛は
「あの……」
と何かを言い掛けた。
小美人は
「分かっています……あなたは前世の記憶や今まで起った出来事のほとんどを忘れてしまいましたね!
あなたの中に眠っているギドラとゴジラの能力で、芹澤大助博士の前世の
記憶が一時的に引き出されました……しかしギドラとゴジラの能力は再び眠ってしまったので
あなたの前世の記憶は再び失われたのです……」
凛は
「そうだったの?」
しばらくして凛は
「……ぼんやりとは覚えているの……好きだったジュニアかしら?
それでその……一緒にいた事とか、ただ槍みたいな物を持っていて……
でも何で?そんな物を持っていたのか全く覚えていないわ。
それを緑の何かに突き刺して……最後に覚えている
のはゴジラと沈みかけた夕日とジュニアとミニラの影……3体
が海に帰った後に『ジュニア』『ゴジラ』『ミニラ』の名前を呼んで、完全に意識を失ったの……」
と説明した。
しかし小美人は
「それは……ジュニアと同化していましたから……」
小美人の言葉を聞いた凛は驚いた様子で
「あたしがジュニアと同化?良く分からいけど……一番本能的
に惹かれていた……好きだったの……」
美雪は驚いた様子で凛の顔を見た。
しかし凛はふと寂しそうに
「でも……ジュニアは海に去る時、どこか悲しげだったような
気がする……『貴方は人類の敵なの?それとも味方なの?』
『何故?町を壊すのか?』と質問をしたあとかな?」
とたった今、思い出した様に言った。
小美人は
「これで新しい神話が完成しました!」
凛は
「神話って?」
と質問した。
小美人は
「神の世界から離れてしまった現代人は再び神の世界へ戻らねばなりません……」
凛が
「そう言えばデストロイアはいなくなったの?」
と尋ねると小美人は頷いた。凛は
「神って?」
小美人は
「あなたとゴジラと言う『神』と対話して再び人類と神々をつなげる巫女となったのです!」
しかし凛は
「あたしは……まだ高校生よ!まだ若いと思うけど……」
小美人は
「それは関係ありません……必要なのは『神』と対話できる心の在り方です!
そして何よりも大事なのは『愛し過ぎ無い事』です!」
凛は
「どうして?」
小美人は
「愛し過ぎればそれは憎悪と欲望に変わってしまいます!
そうなればまた『神』と『人間』の間に深い溝が出来てしまい……
『神』を信じる事が出来なくなります!」
と言った。
続けて「本物の悪魔はあなた達の心の中に潜んでいます!
そして『人間の妄想が一番怖い!』と言う事も忘れないでください!」
凛は小美人の言葉に背筋が凍り付き無言となった。
美雪も同じだった。
凛は勇気を出して
「それはデストロイアの事なの?」
と質問した。小美人が静かに
「そうです!ゴジラやギドラは『生命』そのものであり!
デスギドラは『死』そのものでした。今回のデストロイアは……」
と言い掛けた時、凛が思わず
「パパも?」
と言った。
小美人はうなずくと話を続けた。
デストロイアはまさに『破壊兵器』そのものでした!」
美雪は
「あの芹沢大助博士は偶然作り出してしまった薬品が兵器とし
て利用されるのを恐れて……ゴジラと共に自ら兵器と運命を共にしたのね……」
と言った。
それを聞いた凛は暗い表情になり
「だから……彼ばかり責める事は出来ないのね……」
とつぶやいた。小美人は
「確かにその通りです!でもその因縁は無事昇華されました!
もう2度と現れる事は無いでしょう!」
しかし凛は不安な様子で
「もしも?また現れたら?」
と聞いた。

(第45章に続く)