(第18章)目に見えない敵

最近風邪をひき少し痛いです。
それで酷くならない内に早めに手を打とうと、
思い病院に行って風邪薬を貰って来ました。
ゴジラの自作小説を載せます。

(第18章)目に見えない敵

地球防衛軍の会議室では未だに『デストロイア対策』の緊急会議が続いていた。
波川司令は恐る恐る手を上げたニックの顔を見ると
「ニックさん!何か?」
するとニックは
「少し気になる事が……」
波川指令が
「何でしょう?」
するとニックは
「実はデストロイアに襲われた被害者の名簿と検死結果の報告書を調べていたん
ですが……その被害者全員の体内から『ミクロキシゲン』が検出されています。
しかしデストロイアを引き寄せる筈の『PS45』が全く検出されて無い死体が
10人位見つかりました。」
すると波川指令が
「つまり?」
ニックが
「薬品の匂いを辿らなくても獲物を見つける方法を学習した可能性が極めて高いと……」
さらにグレンが
「そのデストロイアに襲われた被害者にはいくつかの共通点がありました。1つ
は1997年にデストロイアの幼体に襲われて、命からがら逃げ延びた人達や、
12年前に東京でゴジラモスラの出現時に真鶴の体育館に避難した経験のある
人間が被害者の大半を占めている事。2つ目は……襲われた被害者の順番が過去
から現在に遡っていると言う……」
するとCCIの関係者が大声で
「馬鹿馬鹿しい!何をくだらない事を言っている!」
とニックを一喝した。
しかしニックは
「少し変だとは思いませんか?もしかしたら?デストロイアを倒すヒントになるかも知れないのに!」
と大声で返した。
波川司令も
「分かりました!静かにしてください!」
と怒鳴った。
ゴードン大佐は
「それでとにかく地図を見てください……」
と言うと、大スクリーンに地図を映し出した。
その地図には赤い光が品川地区を中心に、目黒区、港区、世田谷区、渋谷区、千代田区
広がり、赤い光は八重洲方面に一カ所に集まり始めていた。
ゴードン大佐は
「これはミクロオキシゲンを探知する特殊なレーダーで見たものです!!現在1cmから
1mm程のデストロイアですが、一カ所に集まろうとする習性がある様です!」
するとCCIのもう一人は
ゴジラとジュニアの行方は?」
尾崎は
「現在!行方を調査中です!」
と答えた。
東京の全ての学校や大学、塾が休校になり、
「目に見えない敵」の恐怖で町中がパニックになった。
M機関は、品川地区にあるバリケード内の様々な場所で姿を変えて出現している
デストロイアを必死に追跡した。近くの公園でデストロイアは、バリケードの壁
に向かって一斉にミクロオキシゲンで攻撃してきたが、
たちまちの内にM機関や自衛隊、CCIの冷凍攻撃でほとんどが全滅した。
ところがまたバリケードから4km離れたマンションにデストロイアが出現し、
デストロイアは巨大なウニの様に表皮を変化させると、回転して、攻撃して来た。
全員傷だらけになったが,これも、ほとんどが撃退された。
しかしマンションに住んでいた多数の住民に死者が出てしまった。
地球防衛軍本部内にある「特殊生物病院」のベッドに
寝ていた友紀の言葉を聞いた凛は小美人の言葉を思い出した。
友紀は
「今日……7人で……凛ちゃんにクリスマスプレゼントを買いに品川に行ったの……」
と泣きながら説明を始めた。
凛は泣きながら
「そうなの……ありがとう……」
とやっとの事で言うと、たまらず二人は互いに抱き合って大泣きをした。

友紀に涙を浮かべながら別れを告げて、病室を出ると、
凜は地球防衛軍内のM機関へ移動した。
そこでジェレルがデストロイアに襲われた人達が持っていた遺留品の写真を見せた。
そこにはそれぞれ7人の両親もいた。
凛は口を塞ぎ泣き出しそうになった。
「これ?ミキちゃんの?」
と溶けかけたポーチの写真を持った。
隣にいた両親が泣き出した。
さらに凛は
「これも?これも?そんな……」
次々と、ドロドロになった眼鏡やキャラクターの付いた財布やカバンの写真を見た。
そこへオタクの両親が来た。
凛は写真に夢中になり、始めその存在に気が付かなかったが、オタクの一人が
「これ?」
と言って、置いてある溶けかけた写真を手に取った。
それは前に修学旅行で撮った記念写真だった。
そしてオタクは大声で
「リユウ……シンちゃんのです!間違いありません!」
そしてキャラクターの付いたハンカチやフィギュアが溶けかけた写真を持った。
オタクの目に涙が込み上げて大泣きした。
凛もつられて母親の美雪の胸に抱きついて大泣きした。
美雪は大泣きする凛を強く抱きしめて一緒に泣いた。
凛は心の奥底でデストロイアに対する激しい憎しみと怒りの感情を押し殺しながら泣いていた。

(第19章に続く)