(第52章)禁じられた初恋

(第52章)禁じられた初恋

美雪は
「それで蓮君はあなたが父親を殺したと思っているの?」
凛は涙を拭きながら
ゴジラ族も俺の父を殺したのも同然だって!ねえ?
あの2年前のデストロイアの因縁を断ち切る為にゴジラと戦った
あたしの行動って?間違っていないよね!ねえ!教えてよ!」
美雪は
袖を強く掴む凛の手を優しく掴み
「大丈夫……間違っていないわ!」
凛は
「でも分からないの自分が……なんでこうなるの?」
というと涙を堪え切れず、ワーッと泣き始めた。

2日後、蓮は、学校に来る様子は毎日クラスの
生徒や先生は目にするするものの、あの凛との喧嘩以来、
教室に来る事無く人目を避けて、学校のどこかに身を潜める様になった。
彼は自分が安心できる場所を求めて、
人が通らない校舎の裏や廊下の狭い隙間に隠れ、そこで生徒や先生の会話を盗み聞きしていた。
凛は、必ず教室のどこかで彼の殺気を毎日感じていた。
彼女は(あたしへの復讐の為の嫌がらせだ)と思った。

しかし友紀はいつも物陰に隠れている彼の事を心配し、毎日弁当の時間になると
彼が身を潜めている所へ行き、凛の話をしない事を条件にそこで一緒に弁当を食べていた。
実は友紀と蓮は2年前、地球防衛軍の特殊生物病院で一度会っていた。
例の白馬の王子様であった。
友紀はたびたび勉強に詰まるといつも彼に数学の宿題や勉強を教えてもらっていた。
彼は丁寧にしかも分かりやすく彼女に数学を教えてもらっていた。
ある日、蓮は
「友紀ちゃん!凄い可愛いピアスを付けている!」
と言うと耳に付いているハート形のピアスをまじまじと見つめた。
友紀は顔を赤くして
「そうなの?やっぱり可愛い?別にダサくないよね?」
と興奮した様子で聞いた。まさか褒められるとは思ってもみなかったからである。
蓮は無言で友紀の顔をじっと見た。友紀は、自分を次第にまじめな顔で
じっと見る蓮を見て心配そうに
「どうしたの?」
と聞いた。蓮は
「なんでも無い……」
と答えた。
彼は知っていた。
友紀がデストロイアに何人も友達を殺されている事実を……。
自分はその『殺人鬼の子供』だから彼女を
『好きになっては駄目だ!』と思っていた。
それでも彼は『好き』と言う感情を抑えきれなかった。
彼は抑えきれず友紀の唇にキスをした。
友紀は彼のキスを受けて顔を真っ赤にして
「えっ?」
と驚いた様子で言った。
蓮は
「御免……でも抑えきれなくて……」
と言うともう一度キスをした。
その時、休み時間の終わりのチャイムが聞こえた。
友紀は
「もう行かなきゃ!……ありがとう……」
と言うと外へ出ようとした。
蓮は
「待って!」
と呼び止めた。
友紀は
「何?」
と聞いた。
蓮は
「放課後また来てくれる?」
と言った。
友紀は頷くとあわてて弁当を持って教室へ戻った。
友紀を探していた山岸は
「見つけた!早くしないと!授業に遅れちゃうよ!」
とあわてて友紀の手を引っ張って行った。
原田先生の授業にギリギリで間に
合わなかった友紀と山岸は結局叱られた。
凛は友紀に
「また……行ったの?彼の所?」
友紀は頷くと
「あたし……彼にキスされたの……」
凛は驚きそして複雑な気持ちになった。
友紀はあわてて
「別に何でも無いの!ただあたしは……」
と大声をあげてしまった。
「そこ!授業中ですよ!そっちは前向いて!」
と二人は案の定注意された。
ついでにずっと凛の方を見ていた。
山岸もとばっちりを受けた。

(第53章に続く)