長編ゴジラシーズンファイナル

(第22章)米軍の黒い噂

(第22章)米軍の黒い噂 午後7時。 大戸島米軍基地から僅かに離れた洋館。凛は両手で拳銃を構えて洋館内の長い木製の廊下を歩いていた。 奥の方から2人の男の声が聞こえた。多分、米軍兵かドラクルのメンバーだろう。 凛はすかさず別の部屋に隠れた。凛…

(第21章)テロ

(第21章)テロ ロシア。サンクトペテルブルグ。 晴れ渡った冷たい青空を背景に、9つの玉ねぎ型ドームが 林立した巨大なレンガと大理石造りの塔を見上げる2人のロシア人がいた。 2人は外壁に書かれた複雑かつ精密なモザイク画をただじっと見ていた。 こ…

(第20章)彼女を守りたい。

(第20章)彼女を守りたい。 1週間前。 東京銀座にある小さなカクテルバー 「デビルズ・ウィッチ・アタック」 アメリカ人の男女と日本人の青年が、注文したワインを飲んでいた。 高校生の頃にこの日本人青年が何度もお世話になった元FBI女性捜査官と男…

(第19章)第2のフ―バ

(第19章)第2のフ―バ。 東京。とある閉鎖された空間。 「君の勝手な独断的行動には失望した。」 白髪のカナダ人はがっかりした表情で、イスに両手両足を縛られた若いロシア人を見た。 彼はロシアの地球防衛軍の代表、つまり司令官で元CIAの長官だった…

(第18章)怪獣は人間?

(第18章)怪獣は人間? 秘密結社ドラクルにC4爆弾で爆破される1時間前の真鶴CCIの会議ドームの一室。 午後3時。 日本人の元内閣官房副長官の金田トオルはいつものように 常に考えるポーズをとり、銀の椅子に座っていた。 その隣に仏頂面でごわごわ…

(第17章)復讐の誓い

(第17章)復讐の誓い あのジラ出現とM塩基破壊兵器事件から1年後。 秘密結社ドラクルは理想の世界を実現すべく行動を開始した。 だが、まさか自分の腹心の部下であるオニール軍曹の裏切りが発覚するとは。実に遺憾な事だ。 さらに悪い事に、ワインの一…

(第16章)影

(第16章)影 大戸島近海を150mの巨大な軍艦が海底を進んでいた。 漆黒に塗られた船体。 更に目を引くのはその戦艦の先端に装備されている 巨大なメタリックに輝くドリルと巨大な格納庫等。 この戦艦はかつてⅩ星人と言う宇宙人や様々な怪獣から幾度と…

(第15章)裏切り

(第15章)裏切り 4時40分。 大戸島米軍基地内の豪華な客室。 ウィルソン上級大佐は豪華な黒い革布のソファーの上にもたれかけていた。 彼の目の前には、いきなり呼び出しを食らい、 面食らった表情のオニール軍曹が座っていた。 「オニール軍曹。」 オ…

(第14章)Gコロニ―計画

(第14章)Gコロニ―計画 SPBに出動要請が下される一時間前の3時00分。 「誰??変態?」 とアヤノは腰のホルスターから拳銃を取り出し両手で構えた。 黒い髪をした男がドアの前に立っていた。 「アヤノさん。私は怪しいものじゃないよ。ただのごく…

(第13章)小型怪獣出現。

(第13章)小型怪獣出現。 4時00分。 東京にある地球防衛軍本部の周辺には厳重な警戒が敷かれており 、常に黒い特殊なスーツに身を包んだ警備員が監視している。 本部内に一般市民が無断で入ったり、写真やビデオを撮影したりするのは禁止されており、 …

(第12章)秘密結社ドラクル

(第12章)秘密結社ドラクル 秘密結社とは、会員以外知られていない儀式目的を持つ団体の事である。 秘密結社は3つ種類がある。 ひとつは反体制的な政治活動を目的とする『政治的秘密結社』。 2つ目はその名の通り犯罪を目的とする『犯罪的秘密結社』。 …

(第11章)海底の救世主

(第11章)海底の救世主 1時40分。 再び大戸島近海の海底。 海面ではいくつもの米軍の戦艦があちこち進んでいた。 その海底の岩陰に僕がいた。 僕は太く逞しい腕を伸ばし、鋭いオレンジ色の爪を近くの壁に突き立てて岩陰からの脱出を試みた。 僕は獣の…

(第10章)第六の絶滅

(第10章)第六の絶滅。 午後12時10分。 大戸島大学病院の隣にある大戸島大学の校舎では 寺川修教授の生物学の授業が行われていた。 「この地球上で過去5回の絶滅がありました。」 とスクリーンに映し出されたパネルを見せた。 「まずは」 と長い棒で…

(第9章)米大統領の娘

(第9章)米大統領の娘 10時30分。 蓮たちは仕方なく凜を置いて、レンタカーで、失踪した島上 冬樹の自宅に着いた。そこは大きな洋館風の建物だった。 蓮は玄関のチャイムを押した。 間もなくして豪華な黄金色の恐竜の模様をあしらったドアが開いた。 …

(第8章)対峙

(第8章)対峙 午前9時10分。 「ドックン!ドックン!」と大きな心臓音が海底の底から聞こえていた。 また僕は自分を求めて大戸島の海に潜った。何故か海に潜っても呼吸ができるらしく全く平気だった。 しばらく海面を移動していると、僕よりも大きい同…

(第7章)謎の怪獣

(第7章)謎の怪獣 大戸島の島上冬樹失踪事件から2ヵ月後。 大戸島では無く、ベーリング海に浮かぶアドノア島。 僕は再び狭い洞窟の中で目を覚ました。 狭苦しい上に真っ暗闇で何も見えなかった。 僕は手探りで、僅かに漏れた光を頼りに洞窟の外へ這い出た…

(第6章)ゴジラとギドラの始祖

(第6章)ゴジラとギドラの始祖 大戸島のアメリカのモーテル風のホテル。 凛と山岸は自分達の部屋で熱いキスを交わしていた。 お互い抱き合い、山岸は凛のピンク色になった首筋と胸元にキスをした。 凛は頬笑み、ふと窓を見ると暗闇の中から うっすらと初代…

(第5章)プロメテウス・ゴジラ

(第5章)プロメテウス・ゴジラ 12か月前。 僕は大戸島と言う島の海岸で目覚めた。 最初の記憶は真っ暗闇でとても狭苦しかった。 僕は呼吸をしたくてそこからもがき、ようやく外に出た。 外も真っ暗で何も見えず、空に数えきれない何かキラキラと光るもの…

(第4章)怪獣冷戦

(第4章)怪獣冷戦 76年前にカイザーギドラと言うギドラ族を倒したゴジラの体内から 特殊な抗体が帝洋パシフィック製薬会社のゴジラ細胞研究グループ により発見された抗体は長年研究された。 その特殊な抗体は、放射能やダイオキシン・環境ホルモン等の化…

(第3章)大戸島のジャージ・デビル

(第3章)大戸島のジャージ・デビル 午後11時33分。大戸島自然史博物館。 蓮は咳払いして再び口を開き、 「それでは?ここの研究員の失踪事件は小さな洞窟の発掘調査 を妨害する為に地元の漁師や島民達が誘拐事件を起こしたんだと?」 「きっと、そうで…

(第2章)呉爾羅伝説。

(第2章)呉爾羅伝説。 午前8時。大戸島自然史博物館。 まず覇王は展示室の正面に置かれた ガラスケースにある白い天狗のお面が目に入った。 「これは仮面か?何かの儀式に使うのかな?」 続いて右の方のガラスケースに視線を向けると丁度、 覇王と同じく…

(第1章)大戸島。

ゴジラ・アフター・ザ・ファイナルウォーズ・シーズンファイナル (第1章)大戸島 駿河湾の南方に位置する大戸島。 この島は1954年、人類の前に姿を現したゴジラが最初に目撃された場所である。 古生物学者の山根恭平博士をリーダーとした調査団がその…