(第4章)寄生生物

(第4章)寄生生物

自分の部屋で凛はテレビをつけた。
あるオカルト番組が放送されていた。
その番組では、凛の実の父親である覇王圭介の存在について、宇宙人否定派の韮
澤潤一郎と宇宙人存在派の大規義彦が互いに議論していた。
大規が
「X星人と言う宇宙人の存在は認めても決して金星人の存在は信じませんよ!!」
と主張していた。
すると韮澤は
「それじゃ!!おかしいじゃないですか?」
とすかさず突っ込んだ。
大規は
「それじゃ彼が金星人である証拠は?『金星人は金髪だから』
という言い訳は無しですよ!!』」
と言った。
韮澤は
「確かに……金髪の人なら外国へ行けばいくらでもいます!!
しかしその中に何万分の一の確率もある訳でしょ!?」
大規が
「じゃ……分からないでしょうが……」
と呆れたように言った所で凛はテレビをリモコンで消した。
山岸は
「見ないの?」
と聞いた。
凛は
「もう…飽きたわ」
と言ってリモコンをベットに投げた。
山岸は
「そう……」
と返した。
凛は突然
「それよりもあなたがここにいてくれるだけで幸せよ……」
と言うと隣にいる山岸の唇にキスをした。
山岸は顔を赤くして「えっ…いきなり」
と言った。
凛は
「誰も来ないわよ……」
と言って再び唇にキスをした。
山岸が
「ちょっと待って!!」
というのも聞かず、2人はベットに倒れこんだ。
そこへ美雪が下から大声で
「山岸くん!!迎えがきたわよ!!」
叫ぶ声が聞こえた。山岸は
「はーいすぐに行きます!!」
と大声で返した。凛は
「残念……それじゃ!!また月曜日学校で!!」
山岸は
「うん!!それじゃ!!」
と答えると父親と共に家へ帰って行った。

山岸が帰った後、凛の母親の美雪は凛を家に残し国連の研究所の戻り、
未知の寄生生物の研究に没頭していた。
それは怪獣に寄生する生物で、暁色のクリスタルのような形だった。詳しく分析した
結果、驚くべきことが分かった。この暁のクリスタルの寄生生物の体内からM塩
基に類似したものが検出されたのである。さらにゴジラそっくりのDNAとキン
グギドラのDNAが同時に検出された。
そこに地球防衛軍の尾崎、ゴードン大佐、アヤノ、ジェレルが訪ねてきた。
美雪は
「やっぱり……間違いないわ……」
とつぶやいた。
尾崎が
「何か分かったの?」
と質問した。
美雪は
「ええ……この寄生生物は主にギドラと、もしかするとゴジラにも寄生するみたい……」と返した。
尾崎は
「それじや?ラドンにも寄生するの?」
美雪は
「恐らく……」
とうなずきながら言った。
ふと思い出したようにジェレルはこう言った。
「確かもう18歳だからそろそろ彼氏見つけないとな。俺とアヤノ見たいに」
すると美雪が
「あら……もう恋人はいるわよ!!」
と答えた。
ジェレルは
「そうか…でも…結婚の話となると例の秘密があるから少しややこしくなるかも……」
美雪は「そうね……たとえ秘密を伝えても彼氏が受け入れてくれるかどうか?」
とため息をついた。

しばらくして美雪はクリスタル状の寄生生物を詳しく調べていた。
そのクリスタル状の寄生生物は植物に近い存在であった。
特殊なシャーレに、過去の戦いで回収したギドラ細胞
とその寄生生物を一緒に置いて顕微鏡でしばらく観察すると、クリスタルが花の
ように開いて中からアメーバのようなものが出てきた。
それはギドラの細胞の中に侵入した。
そしてギドラ細胞の複製を次々と作りだし、爆発的に増殖した。
一方ギドラ細胞にも変化があった。
黄金に輝いていたギドラの細胞はたちまち暁
色に染まっていった。尾崎が驚いてそのギドラの細胞を見た。
美雪が顕微鏡から手を離して、特殊なシャーレでギドラ細胞を見ると、ギドラ細
胞は暁から元の黄金に戻っていた。
美雪は
「なるほどね……」
とつぶやいて、今度はG塩基を持つゴジラ細胞を、
寄生されたギドラ細胞の近くに置いた。
するとギドラ細胞は再び黄金から暁色に戻り、アメーバ状になってゴジラの細胞
に同じように寄生した。
しかしギドラの細胞に比べるととても浸食の進行が遅かった。
尾崎は
「これって?G塩基のせいかな?」
と言った。
美雪は
「まだ!!分からないわ!」
と答えた。
突然ゴジラ細胞に寄生しようとしたアメーバが苦しそうにのた打ち回り始めた。
全員驚いて後ろに後退した。
美雪があわてて顕微鏡を見るとまだ寄生されていない細胞の一部が逆にアメーバ
状の寄生生物を吸収した。そして元の新しい細胞が次々と作られ、復元した。
美雪は思わず
「アポトーキシスだわ……」
尾崎は
「それって?細胞の自殺?」
美雪は
「つまり……X星人がどんな手を使ってもゴジラのクローンを作ることは不可能
だと言う事よ……」
と言った。

(第5章に続く)