(第33章)黄金の突破口

(第33章)黄金の突破口

ゴードン大佐は
「つまり2体のゴジラバガンはこの建造物の真下に向かっているのか?」
ジェレルは
「ひょっとしたら凛さんの命が助かる方法があるかも知れない!」
と言った。しかし全員沈黙した。
しかし希望を捨てなかった尾崎は積極的に
「そうだな!バガンと2体のゴジラの後を追跡しよう!」
ミュータント兵達は全員明るくなり
「了解!」
と返事をした。そして尾崎は
「カイザーの力が駄目でも!必ず方法を見つけて凛ちゃんの命を助ける!命を懸けても!」
と決心した様に言った。
救助艇はそのまま山脈を飛行し続け、地中のバガンの後を追い始めた。
X星人の小型船から別の小型船に乗って脱出した
日系企業の『TGRAT』のリーダー格の楊国花は一足早く森の奥にある砦のような遺跡に着いていた。
そして中国のスパイ達が最初に見つけた広いホールの様な場所に入って行った。
そのホールの中心には巨大な掘削機で掘った大穴があった。
ちなみに掘削機は3日前に回収されて今ここには無い。
楊国花はその大きな穴を避けつつ周りの壁を調べ始めた。
壁には巨大な黒い竜の絵の下に漢文があった。
楊は懐中電灯を頼りにそれ以外の文章が無いか必死に調べ始めた。
凛は再び夢の中でもう一人の自分と黄金竜と戦っていた。
凛は
「どうして当たらないの!」
と言いながらパンチを仕掛けたが黄金竜は一瞬でかわし、
長い爪で腹を集中的に切り裂いた。
凛は腹を押さえて倒れそうになったが何とか立っていた。
凛は
「負けてられるか」
と大声で言った。しかし黄金の竜は消えていた。
凛が
「あれ?」
と言った瞬間、真上から黄金竜が踏み付けた。
凛は仰向けに倒れ、口から血を吐いた。
そしてフラフラと立ち上がりながら
「どうしたら?攻撃できるの?」
とつぶやいた時、黄金の竜は長い爪を十字に組んだ。
凛はとっさに身構えたが何故か黄金竜は攻撃してこなかった。
凛は
「もしかしてあたしの直感が正しいなら……」
とつぶやくと両目をつぶり、黄金の竜に一直線に「このお!」
と大声を上げながら突撃して行った。

楊国花は周りの壁を調べていた。
そして研究用機材らしきものを見つけた。
しかしすぐホールの入口の近くで話し声が聞こえた。
楊国花はあわてて近くの柱に隠れて入口の様子をうかがった。
そこへCIA化学兵器情報局の職員達やバイオメジャー達、
そして裏で取引していたアメリカの薬品会社『レオパス社』の社員、
ビリー・ハイブスとジュン・ハートがホールの中に入って行った。
それに混じってCIAの対テロセンターやCCIの職員数名もいた。
楊国花は
アメリカも日本も『あれ』と『例の実験体』を狙っているのね!
X星人と同じに!厄介なことになったわ!」
と言うと懐中電灯を持ち直し、見つから無い様に周りを照らしながら移動を開始した。
中国の山脈を飛行していた救助艇は、米軍やアメリカの地球防衛軍と共に、
狼の砦の遺跡の近くの森に次々と着陸した。
アヤノが大声で
「大変よ!凛ちゃんの容体が!」
と大声で言った。尾崎達が駆けつけ、見るとベッドの上で気絶していた凛の右肩
から黄金と漆黒と暁が混じった触手が生え始めていた。
女性医師はその画面を見て
「変異しているわ!『寄生生物』が!」
と言った。尾崎は
「まさか?」
ニックが
「彼女はまだ生きているのか?!」
女性医師は画面の分析映像を見ながら
「この寄生生物は抵抗の弱いG塩基を吸収してG塩基に対して抗体を作り出そうとしているわ!」
と言った。しかしその時、彼女の右肩から生えていた触手が
数cm伸びた所で停止したかと思うと突然、触手は徐々に縮んで短くなって行った。
さらに凛の身体が激しく痙攣を始め、全身を覆っていた
暁色のアメーバは急速に彼女の体内に吸収されて行った。
そのあとの様子を見た母親の美雪は絶句した。
しかし目を背けることはしなかった。
しばらくすると凛の身体は元に戻った。
女性医師は喜んで
「これは……奇跡よ!」
と大きな声を上げた。
凛の護衛や尾崎、ニック、ゴードン大佐は喜びの声を上げ
「治ったぞ!治った!」
と言いながら次々と美雪に抱きついた。

(第34章に続く)