(第27章)オキシジェン・デストロイヤー中和剤!

(第27章)オキシジェン・デストロイヤー中和剤!

国立物理科学研究所内にある伊集院研作博士の研究所では、
凛が伊集院博士の顔を見て涙目で
「あたしの前世の芹澤大助博士が悪魔の兵器を作りだした時、
どんなに苦悩したか?考えた事がありますか?」
伊集院博士は戸惑って
「君はいきなり何を言い出すんだ!」
と少し怒った様に言った。
健太郎
「信じられないかも知れないけど……彼女はオキシジェン・デストロイヤーの開発者
芹澤大助博士の生れ変わりなんです!」
伊集院博士は
「何を言っているのかね?君は前世なんて」
美雪は
「本当です!信じてあげて下さい!」
と訴えた。
伊集院博士は
分子生物学者のあなたまで前世を信じているんですか?」
と少し驚いて言った。
凛は思わず
「これも……運命かもしれない……」
とつぶやいた。八丁堀付近の晴海運河自衛隊の直充は、
八丁堀の横の海を通り過ぎ、行進を続ける3体のゴジラを双眼鏡で追跡した。
しかし3体のゴジラの背びれは沈んで消えた。
別の自衛官のキリンは
「目標!レーダーからも消失!」
直充は
「どうする気だ!」
研究所では凛が伊集院博士に
「あたしの前世の記憶を頼りに開発中のオキシジェン・デストロイヤーの中和剤を完成しましょう!」
伊集院博士は呆れた様に
「あのね……いくらロマンティストな私でも前世の話なんかある訳ないじゃないか?
第1に君は未だ高校生だ!科学者でも無いし!物理学者でも無い!」
と反論した。しかし凛は悲しげに下を向いて
「このままデストロイアを野放しにしておけば!確実に大気中がミクロオキシゲン!
いいえ!オキシジェン・デストロイヤーで汚染されてしまう!
そうなれば大気中の酸素が破壊されて生物はみんな窒息死し、
液化してこの地球は『死の惑星』になってしまう!」
伊集院博士は無言となった……。
続けて凛は
「原爆や水爆よりも恐ろしい兵器です!
手遅れにならない内にすぐにでも葬り去らないと!」
と必死に訴えた。
すると美雪が
「あたしからもお願いします!」
健太郎
「僕からも!」
と頭を下げた。
さらに美雪は
「お願いです!娘の言う事を信じてあげてください!
伊集院博士は
「しかし……」
と口ごもっていたがやがて
「あなた達まで……分かりました!やれやれ……これから自衛隊に『デストロイア対策』
として私の仲間の科学者達を緊急に集め、中和剤の早期完成を依頼します!」
と首を振りながら答えた。
4人は
「ありがとうございます!」
と一礼した。
仲間の科学者達が伊集院博士の研究所に集まり始めた。
伊集院博士がふと凛の顔を見ると、
凛の首にかけていたインファント島のお守りである小さな鏡が発光していた。
伊集院博士は凛の顔を見た。今まで泣き虫だった凛とは全く異なっていた。
彼女は催眠術か何かにかかった様にうつむいてぼんやりしていた。
しばらくすると『物理』等の理系がとても苦手だった筈の凛が『酸素』について
の知識をあらゆる角度からアドバイスし始めた。
母親の美雪や健太郎も驚いていた。
もちろん伊集院博士やその仲間達も信じられない様子だった。

東京の立川市にある避難所で、全国テレビを見ていた例の怪しげな宗教団体の教
祖が避難していた周りの信者達に
ゴジラは『神』であり!『ラグエル』と言う天使である!」
と大声で言った。
さらに「ラグエルは他の天使達を監視して、新しい堕天使が生まれない様に
厳しくチェックしている!また放射能など地球の環境を破壊する有害物質を浄化させる働き
をしているのだ!最近は青い竜の姿を借りて地球に降り立ち、我々人間はそれを
ゴジラ』と呼んだ!現れた場所によって大戸島の呉爾羅や中国の青龍と呼ばれ
ているものの、正しくは『ラグエル』である!」
と言っていた。そこに偶然避難していた山岸は
「何言っているんだ?この人は?」
と呆れたように言った。

(第28章に続く)