(第7章)真実が語られるとき……

(第7章)真実が語られるとき……

ゲームの中の人面魚は凛の話をマイクで聞いて
「さあ~いつか父親に会える日が来るんじゃないか?」
と相変わらずふてぶてしい態度で答えていた。
凛は「巫女って何?」
と突然質問をした。
人面魚は驚いた様に「意外な質問だな……」
と答えた。凛は
「どこかの本で読んだ事があって……それで気になって……」
とマイクごしではなしかけた。
人面魚はまるで博士の様に
「巫女はな……神の妻になり、周りの人達に神の教えを届ける役割の人さ!!」
と答えた。凛は
「本当かな?」
と答えた。
すると人面魚は
「まあ!!要は神楽を舞ったり、祈りをささげる独身の女性だ」
凛は「それじゃ結婚できないの?」
人面魚は当たり前だと言うように
「もちろん!!それじゃ不倫だからね!!」
と答えた。ちなみにこのゲームソフトはまるで人間の様に会話しながら悩みを相
談したりして仲良くなれるというものである。
実は自分が一番苦手な理系の勉強もたびたび質問していた。
その為凛にとっては母親や姉、ペットの犬のキャンディの次に頼れる良き理解者であった。
美雪は練馬区にある国連特殊生物研究所
で、尾崎やゴードン大佐、神宮寺博士たちと、インファント島の十字架のお守り
について話し合っていた。凛も学校帰り、母親の美雪に会いに研究所に来ていた。
美雪は憤慨した様に
「CCIの人達もひどいわ!!せっかく凛に
あげたお守りを勝手に取り上げるなんて!!」
と言った。ゴードン大佐は
「別に問題ないだろう……国連の人達が許可したんだし……
調査が終わればすぐに返してくれるだろう?」
と慰めるように言った。
神宮寺博士は
「そのインファント島のお守りから発せられた謎の波長は、
内閣の関係者によると人間の脳波に類似しているそうだ。
それにそのお守りからは特殊な物質は発見されなかったと聞いていたが……
調査の結果、G塩基に類似した物質が発見されたそうだ。
そこから人間の脳波に類似した波長は
『小美人かモスラのテレパシーではないか?』
という学説が出た。
ゴジラモスラ、例の生物は小美人の様な先住民族が作り上げた人工の生物』という説もある」
美雪は
「それはあり得ないわ……でもあたしたちが小美人から聞いた話も
『物的な証拠が無い』から信じてもらえそうにないし……」
とため息をついてイスに座った。
ゴードン大佐は
「小美人から直接聞いた
『25億年前に地球の意思が、誕生したばかりの
生命を守る為に小美人とモスラを自らの一部で作り出した』
と言っても誰も信じてくれないな……」
と言った。
尾崎は
「……周りでいろいろ根も葉も無い事が雑誌に書かれているし……」
凛が
「本当に馬鹿らしいわ……」
とつぶやいた。
さらに神宮寺博士は
「他にも人間の少女が持っていた勾玉と亀の様な怪獣との関連も指摘されている」
美雪は
「それって?」
神宮寺博士は
「いや……少女が、持っていた勾玉を通して亀の様な怪獣と交信したとか?
詳しくは分からない」
と肩をすくめた。
その時
「面白そうな会話をしていますね!!」と声が聞こえた。
全員が振り向くと眼鏡をかけて常に考えるポーズを
とっている男がドアの前に立っていた。
ゴードン大佐は仮設研究所のドアの前に立っている眼鏡をかけた男に向かって
「ここへ何の用だ!!」
とすごんだ。
するとその男が
「ちょっと……せっかく皆さんがお元気かお伺いしただけなのに……
それはいくら何でもあんまりでしょう……」
と言った。
トオルは全員の顔を見て
「怖い顔ですね……やれやれすっかり世間や君達から
も嫌われ者になってしまいましたね……」
と言い凛の顔をまじまじと見た。
「あなたが噂の音無凛さん?」
美雪は凛をトオルから遠ざけようとした。
トオル
「私には別に下心はありませんよ!!」
と笑いながら言った。
美雪は
「どうかお引き取りください」
と丁寧に言った。
トオル
「あなたの娘さんにはもしかして、自分が何者なのかも、
父親の正体も教えていないんですか?この歳になっても一度も?」
と言った。
美雪は怒って
「余計なお世話です!!」
と怒鳴った。
すると凛が
「父の事ご存じなんですか?」
トオル
「ええ……ご存じですよ!!」
と得意げに言った。
凛は
「教えてください……父の行方を……」
美雪は
「駄目よ!!あなたは……心の準備がまだできていないのよ。
とにかくお引き取りください!!」
しかし凛は
「ママの馬鹿!!どうして教えてくれないのよ!?心の準備って何よ?!」
ととうとう怒りを爆発させた。
トオル
「やれやれ……」
と呆れたように言った。
ゴードン大佐も
「早く出て行け!!」
と圧倒的な大声で怒鳴った。
ついにトオル
「分かりましたよ……」
と言い、すごすごと仮設研究所から出て行った。

(第8章に続く)