(第29章)コーリング

(第29章)コーリン

東京では3体のゴジラが一斉に放射熱線を吐こうと背びれを青く発光させた。
しかし突然「ジュー」と音を立てて、背びれの発光が消えた。
それと同時にゴジラジュニアは何の前触れもなく激しく苦しそうに倒れ込んだ。
轟天号内でアヤノは
「東京八重洲の酸素濃度が急激に低下し始めました!」
ジェレルは
ゴジラジュニアを分析した結果!
ゴジラジュニアの肺や気管支に幾つかの小さな出血が確認出来ました!
この症状はまるで『肺結核』そっくりだな……」
ニックが
「ヤバいぞ!放射熱線も使えないこのままじゃ!」
アヤノが
「大気中に微細なデストロイアを確認しました!」
地球防衛軍本部では関係者の一人が波川司令に
「東京の立川市から緊急連絡です!」
と伝えた。
波川司令が受話器を取ると、慌てふためいた声で
「大変です!立川市の避難所に微小体のデストロイア出現!
『肺結核』に類似した症状で500名が感染して危篤状態です!
またエボラ出血熱に類似した症状で800名が死亡しています!
避難民はパニック状態で事態の収拾が出来ません!!救援をお願いします!!」
と必死に何度も訴えがあり、通信は切れた。
波川司令は
「何て事なの……」とつぶやいた。
轟天号では
「多勢に無勢だ!このままじゃマズイ!引き返しましょう!」
ゴードン大佐は
「馬鹿野郎!ここまで来て引き返せるか!」
と返した。尾崎は
「しかし……」
ゴードン大佐は
愛する人の為に戦い勝つ!」
尾崎は
「ゴードン大佐…」
ゴードン大佐は
「君達にもいるはずだ!愛する人が……必ず生きて帰るぞ!」
尾崎は笑い
「ああ……必ず皆で!」
と言うとゴードン大佐の手を強く握った。
ニックとグレンは同時に
「俺達も全力でバックアップします!」
ミュータント兵達も
「私達も戦います!」
尾崎は
「みんな……」
熊坂はM機関の様子を見て感動で泣きそうになった。
やがてジェレルは
「まもなく八重洲です!」
ゴードン大佐は
「よし!みんな戦闘配置に付け!」
と号令をかけた。M機関のミュータント兵は
「了解!」
と敬令しながら言った。伊集院博士の研究所では
「奇跡としか言いようが無い……まさかこんなに早く試作品が完成するとは……
夢でも見ているようだ……」
と伊集院博士とその仲間達は驚きと感動で打ちのめされていた。
とうとうオキシジェン・デストロイヤーを中和させる薬品が完成したのである。
凛はしばらく無言のままうつむいた。
凛の脳裏には3体のゴジラが何かに身体の一部を溶かされて苦しんでいる様子が
入ってきた。
そしてジュニアらしきゴジラが凛に向かって
「助けてくれ!」
と大声で言っているような気がした。
凛の眼から涙が流れ、それが首にぶら下げていた
インファント島のお守りである小さな鏡を濡らした。
その時、周りの研究所の景色が消えて「ハッ!」と正気に帰ると、
凛は研究所では無く廃墟となった東京のビルの屋上に立っていた。
美雪は
「凛!どこなの!?」
健太郎
「消えた?」
伊集院博士は
「中和剤も無いぞ!」
と大あわてしながら中和剤と凛を探そうとした。
美雪はハッとして
「あたしにも聞こえた……ジュニアの声が……」
健太郎
「まさかジュニアは助けを彼女に?」
とつぶやいた。伊集院博士は
「なんなんだ……今度は超能力か?やれやれ君達の感覚にはついていけん……」
とつぶやいた。

(第30章に続く)

今日の変更はここまでです!また明日の土日にでも載せます。
では♪♪